【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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楽屋話をさせていただく。
不景気のせいばかりでなく、数年前から農業をやりたいと相談にくる学生が増えている。その矛先はわが社にも及び、入社を希望してくる若い社会人や学生がいる。3月からわが社に入社した北川奈津子もそんなひとりだ。佐賀県の農家の長女で山口大学を卒業し、先月まで立派な会社に勤めていた。にもかかわらず、わが社へ転職してしまった。世間一般の常識から見れば、後先を考えぬ娘だと言われるかもしれない。
きっかけは、A-1グランプリにも出てくれたみやじ豚の宮治勇輔さんが主催する「農家のこせがれネットワーク」だったようだ。宮治さんの呼びかけで集まった農家出身の同世代人と友達になり、彼女の潜在意識に火がついてしまったらしい。同時に、本誌のホームページを見て購読を始めた。読者セミナーにも毎回顔を出すようになった。セミナーは無料だが、有料の懇親会やその二次会にも参加する。気の毒に思い、二次会分は僕がおごってあげた。すると、ちゃっかり僕の横に座り、自分を会社に入れてくれ、いや、会社に入れるべきだと迫った。