【拓殖大学国際開発学部教授 叶 芳和】
株式会社の農業参入は、20~30年も前から語り尽くされてきた議論である。
当時は、農地の貸し手が少なかったため、「参入」は「農地取得」と同義で語られた。しかし今の状況は全く違う。農地はあり余り、わざわざ買わなくても、安く借りられるようになった。返還リスクも小さく、現に経営能力の高い農家は、農地を買ったりはしない。借地で規模拡大している。
“評論家”の主体なき政策要求
すでに構造改革特区で認められたリース方式の全国拡大が決まり、株式会社の参入規制はかなり緩和された。本当は耕作放棄地だけでなく、通常の農地もリースの対象にした方がよい。だが、取得を認めさせようというのは、すでに時代に取り残された議論に思われる。