【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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“人に夢を見させないシステム”。かつての日本の農業世界を僕はそのように見ていた。だから本誌は“夢を見る”というテーマにこだわってきた。しかし、農業界や取り巻く環境は大きく変化した。そんな時代になってみると、今度は“夢を見ようとしない若者”の姿が目につくようになってしまった。いつの時代にも必ず次代を担う人々はいると思いつつも、すこし気になるのだ。
かつて、僕が出会ってきた農業経営者たちは、考え方や進もうとする方向性は人それぞれであっても、村に生きる個人としての葛藤や改革への意志あるいは事業者としての野心を持つという意味で共通していた。夢見る者であればこそ、農業経営者たろうとすればこそ村や農業界の論理との軋轢に苦しんだ。であればこそ、時代や農業や地域というものを見詰め、問い続ける人々であった。しかし、近頃、まさに夢見る者たちであった農業経営者の子供たち出会って感じることがある。