『機能性表示食品』としての農産物
【講師/後藤善一氏(JAみっかび 代表理事組合長】
今回のセミナーは「機能性表示」についてです。
温州ミカンを「機能性表示食品」として消費者庁に届け出をし、生鮮食品では
第一号となる見通しのJAみっかびの後藤善一組合長にご講演いただきます。
農産物の付加価値について関心のある農業経営者や農業法人、農協関係者、
そして農業生産者との連携を考える企業の皆様のご参加をお待ちいたしており
ます。
ご存じのとおり三ケ日農協はミカンの産地としては随一の地位を得ています。
それは産地としての条件に恵まれているだけでなく、同農協のみかんをマーケ
ティングするための様々な努力を積み重ねています。
サントリーと連携した「三ケ日みかんハイボール」、家庭需要の減退をカバ
ーするために取り組んでいる「オフィスみかん」戦略等々。有名産地のブラン
ドに胡坐をかかない取り組みです。そんな三ケ日農協が取り組んできた新戦略
がこの「機能性表示食品」の取り組みです。
これまで機能性の表示は特定保健用食品(通称トクホ)と、栄養機能食品
(ビタミン・ミネラルの成分を一定量含むサプリメントや加工食品など)のみ
に認められてきました。そして今年4月から開始された第三の制度が、「機能
性表示食品」です。
機能性表示食品とトクホとの大きな違いは、国の審査や認可が不要であるこ
と。といっても好き勝手に表示してよいわけではなく、製造する事業者は、な
ぜ体に効くのか仕組みを調べたうえで効果を確認して科学的根拠に基づいた資
料を消費者庁に提出する必要があります。
機能性表示食品の最大の注目ポイントは、対象が加工食品、生産食品、農林
水産物など、原則としてアルコール類を除いた全ての食品であることです。こ
のように生鮮食品でも機能性を表示できるのは、世界でも類を見ない制度だと
いいます。
温州ミカンの機能を訴えたい場合、「β-クリプトキサンチンの血中濃度が
高い閉経後の女性は、濃度が低い女性よりも骨粗しょう症のリスクが低い」と
いった事実が観察研究で明らかになれば、「本品はβ-クリプトキサンチンを
含み、骨の健康を保つ食品です。更年期以降の女性の方に適しています」のよ
うな表示で商品の機能をアピールできます。
ただし課題も残っています。科学的裏づけが求められ、事業者としては決し
てハードルが低くないこと。そして生鮮食品の場合、産地や収穫時期によって
有効成分の含量がばらつきが生じることは避けられず、機能性が変動する可能
性も少なくありません。
機能性表示食品にすることのメリットや取り組むにあたっての問題点などを
後藤善一組合長にあますところなく語っていただきます。
『農業経営者』編集長 昆吉則
講師プロフィール
1955年、静岡県三ヶ日町(現浜松市北区三ヶ日町)生まれ。日本大学経済学部卒業後、就農。妻、長男、2人の常雇用、収穫時のパートで約8haの園地での柑橘栽培。年間10kgダンボール2万ケースを出荷する三ヶ日町農業協同組合(JAみっかび)有数のミカン専業農家。2009年、JAみっかびの代表専務理事に就任、2014年、同代表理事組合長に就任。年商約5000万円。 JAみっかびのミカンの年間出荷量は早生、青島温州、中晩柑合わせて計約3万1000トンで、販売額約77億円。職員数は約150名。
【日時】
2015年9月1日(火)16:00〜18:00
【会場】
シチズンプラザ[高田馬場]
〒169-0075 新宿区高田馬場4-29-27
【参加費】
『農業経営者』定期購読者 2,160円(税込)
一般参加 10,800円(税込)
※ 今回、年間購読のお申込をいただいた場合も受講料は2,160円(税込)となります。
※定員に達したため、申し込みを締め切りました。
ありがとうございます。