【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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今を暗く語る君がいる。
もし、道を見出せないような闇の中にいたとしても、君は人々の語る後ろ向きの流行り言葉に流されるべきではない。
君が経営者たること、誇りある職業人たることを自負し、男として、女として、夫、妻、父、母として、家族や仲間への責務を自覚する者であるなら。
今が安穏に過ごせる時代でないことは事実である。でも、今までの君がたまさかの幸運に恵まれていただけに過ぎないとは考えられないか。これまでの君が、小さな村(あるいは会社や家族)の中だけで通用するお山の大将を演じてきただけであり、その砂山が歴史の胎動で崩れつつあることに怯え、身をすくめているだけではないのか。餓える怖れのない社会にいることで、我々は生きることへの根本的な問いを見失っているのではないか。自らの意思とはかかわりなく誰かに道を与えられ、主体のない人生を消費し、それに浮かれて来ただけではないのか。