【古ヶ崎青空塾 渡辺郁夫 (千葉県松戸市)】
「介護疲れで死ぬことすら考えていた私にとって、ここに毎日通うことが文字通り救いであり、人生を取り戻すきっかけでした」
農業体験農園「古ヶ崎青空塾」に参加するある婦人が語ったその言葉に渡辺郁夫氏は感激し、そして確信した。この人ひとりのためでも、農業体験農園の仕事を続けていく価値がある、と。
都市に生きる農家が農家であり続け、農地を守ることを通して、人々に必要とされる存在になっている。しかし、農地に関する法律や制度、あるいは人々の無理解も含めて、それを経営として成り立たせていくことは容易ではない。
渡辺氏にとって農業体験農園はボランティアではない。大きな儲けを求めるわけではないが、利益を出せなければ続けられない仕事である。経営を行なうことでこそ、仕事としての誇りを実感し、利用者や地域への責任も果たせるのだ。
(以下つづく)