【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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「雪印食品事件」以後、食品流通業界の“嘘”が一気に白日の下に晒され始めた。
その後の経過を見るとき、これは我が国の食品の生産・流通・小売りにおける“信用恐慌”とでも言うべき事態に発展するのではないかと本誌は恐れている。それは我が国の農業と食の業界を大変革させるために避けては通れぬ時代の波ではあるが。今年度末に囁かれる様々な金融不安、4月に始まるペイオフ、それらが経済恐慌どころか日本社会そのものを恐慌に導くことにもなりかねないからだ。
発端は雪印食品⑭関東ミートセンターによる「牛肉詰め替え」の露見だった。“狂牛病騒ぎ”で売れ残る未検査国産肉の対策として設けられた買い取り制度を悪用し、補助金を騙し取ろうとした詐欺事件である。その後、牛肉の販売についての産地やブランド詐称(表示の嘘)が告発されるのに次いで、いよいよ海外産農産物の産地詐称やリパックの横行も報道されるようになった(マスコミも知りながらこれまで報道してこなかった)。