【政策研究大学院大学教授 松谷明彦】
日本の人口は他の国々と比べて、はるかに速いスピードで減少していく。その主な原因は、「少子化」ではない。日本人の出生率は約80年前から一時期を除き、ずっと緩やかに下がり続けている。これから人口減少が起きるのは、ベビーブーム世代が一挙に高齢化し、死亡者が急増するからだ。
戦後のベビーブームは各国に見られた。だが、日本の場合、食糧難を乗り切るため、1950年代初頭から産児制限を実施し、ブームは極めて短期間に終わった。その結果、グラフに表すと「人口の塊」の後に「急峻な谷」が続くギクシャクした人口構造ができた。急激な人口減少は、過去に人口をいじった結果にほかならない。