【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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農業界では、いまだに1970年の減反開始を不幸の始まりであったかのように語る人々がいる。しかし、1960年代後半から1970年前後の時代こそ、日本が大転換をしていく時代であった。それは、“欠乏”あるいは“飢え”の克服を国家の最大テーマとした時代から、人々の健康だけでなく社会の病理としても欠乏よりも対応の困難な“過剰”の時代に転換する時代であったのだ。
年代記で言えば、1964年(昭和39年)の東京オリンピック開催に合わせて東海道新幹線が開通した。首都高速道路、東京モノレールが開通したのもこの年だ。その前年(1963年)には日本で始めての高速道路として名神高速道路が開通していた。今でこそ日本はODA大国と言われるが、東海道新幹線は世界銀行からの融資によって建設された。日本はそういう国だった。