【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -
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外食業界のセミナーに出席して業界トップの方々から話を聞く機会があった。
総売上約28兆円といわれる外食業界も今でこそ多数の上場企業をもつ産業界として認知されているが、外食業が「事業」としての形を整え始めたのは、わずかこの25年か30年前からのことだという。当時は「外食業」という言葉すらなく、飲食業といえば「生業」として営まれる小商いであり、「デキモノと水商売は大きくなると潰れる」とすらいわれていた。
限られた老舗の旅館やホテル、料亭などが「家業」レベルの業態として成立していた程度だった。経営主自身も事業者意識に乏しく、その社会的評価も高いものとはいえなかった。