編集長コラム | ||
「女性差別」をどのように語ろうか? | 農業経営者 9月号 | (1998/09/01)
本誌は「被害者としての農業や農村あるいは農民をどう守るか」ではなく、「現代日本の社会で、農業およびその経営主体としての農業経営者のアイデンティティー(自分という存在の独自性への自覚)を確立すること」「農業を経営として成立させること」をテーマとする雑誌である。
現実の村の女たちは「しっかりしろよ男たち!」と言い始めている。本誌には三好かやのさんの取材と紹介による「女だからの経営論」という連載がある。三好さんのルポには「変える・守る・育てる・創る」とサブタイトルを付けてあるが、そこに登場する女性たちの大地のごとく豊かな人間力やしなやかな強さの中にこそ、農業や農村を変革し創造する力があると本誌は期待している。男であれ女であれ、被害者として「権利を主張すること」ではなく「自負において振舞うこと」こそが自立であり解放だからだ。
さらに、農家であれ商店であれ中小企業であれ、経営安定の最大の条件とは、ご主人(社長)と奥さん(副社長・専務)が自分の役割リを自覚していることだ。夫婦仲が良いことだ。そして、世間的にはご主人ないしは社長が注目を受けていても、ご主人や社長は「表札」や「方向を示すべき人」あるいは「牽引車」に過ぎないのであり、むしろ、その陰に隠れたナンバー2(奥さん)の存在やその能力次第で経営は左右されている。多分、言わずもがなのことだろうが、本当に力のある奥さん方やナンバー2というものは、その役割に誇りを持っており、むしろ亭主や社長を手の平の上で遊ばせている位に思っているのではないか。
「男女の役割の固定化」「どうしようもない時代錯誤の差別主義」と批判されそうだが、一般的には、その方がうまく行ってるケースが多いのだ。
そもそも、今も昔も日本では夫が働いた給料の管理は奥さんがしているというのが普通だ。「男女平等」や「女性差別撤廃」の先進国である欧米の国々では稀なことだ。あるいは、自動車や住宅など高額商品を家庭に売るセールスマンたちなら彼らのセールス成功の鍵は夫ではなく主婦を落とすことだと知っている。最後の決定権はハンコを押す男たちではなく女が握っているからだ。日本の女にとって、亭主とは誉めて励ましその気にさせて、せめて「表札」に名前を出して「ハンコ」を押させ、喜ばせつつ自由に操るものなのではなかったか。日本の家庭ではずっと昔から、女こそが男に象徴される家を優しく包み込みながら経営し、男や家を支配し続けてきたのではないだろうか。
しかし、農業経営の成立を問うこともなく、ただ「家族経営協定」などと夫婦喧嘩を煽るようなことを指導機関がしたりしている。そもそも、本誌は「男女差別の問題」を含め、多くの農業指導者や研究者やジャーナリストといったインテリたちの、いわゆる西欧近代主義的な論理だけの現状批判に大きな疑問を抱いている。
読者の皆様にも様々なご意見があると思う。「男女差別」が存在し、それが問題だとは認識しているが、本誌への反論を含め、読者の皆様のご意見を伺いたいと思う。その紹介を含めて、本誌上で実りある論議を広げていきたい。
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