編集長コラム | ||
創刊50号、ありがとうございます | 農業経営者 3月号 | (2000/03/01)
あたりまえの常識から考えて予想が立った農業と、その関連業界の破綻。何度も書いてきた、わが国の農業界にも「ベルリンの壁」の崩壊が起きるという確信があっての創刊だった。
僕の選ぶべき道、問うべきテーマは、単にジャーナリストとして農業を語ることではなく、農業にかかわって飯を食う一人の商売人として自らの存在を問うことだと考えてきた。この雑誌を発行することで自ら当事者としての振る舞いを考え、悩みうろたえつつも同伴者としての農業経営者とともに新たな道を見出そうとすることが必要なのだと考えた。また、その問いを持ち続けることで、農業に関わる商売人としての未来を確実なものにすることができる。それこそが僕の経営理念であり経営戦略にしようとも考えた。
農業専門紙誌が部数を落とし、そして廃刊していく時代だった。それこそが好機だと思った。頼りにする販売チャンネルや組織的な配布ルートがあるわけではなかった。ただ、支援企業から提供してもらったユーザーリストを元に、購読勧誘の手紙とともに創刊号を送り付けるという読者探しだった。応援してくださる企業の方々にも購読勧誘をお願いした。それで読者になっていただいた方は限られたものであったが、励ましの手紙とともに送られてきた購読申込書を一通一通文字通り感激して読んだ。
始まったのはあの大冷害の年だった。冷害による米不足が明らかになると読者の申し込みが一気に増えた。当時は年に4回の発行であったがその秋以来、発行の度に読者が増えていった。広告も増えた。それは嬉しかったし、有難いことだった。
しかし、それは僕が求めていた姿ではないと気付いた。それは「冷害特需」とでも言うべきものだった。カタログサービスで集まるカタログ請求の推移を見ていると、読者には失礼な言い方であるが、高く売れるからと安易に米販売に取り組む農家の姿がそこに見え透いていた。家庭用精米機で摺った選別の悪い屑米でも高値で売れてしまうパニックが町に広がっていた。世のメディアの情緒的で上滑りの論調とは裏腹に、冷害を喜び、しかも屑米でもこの時とばかりに高値で売る浅ましい農民の姿が、50年ぶりに多くの消費者に見抜かれていると僕には思えた。にもかかわらず、多くの農民はそれが商売であり経営だと誤解しているようだった。あるいは「虐げられてきた農民だからそれも許される」などと相変わらずの被害者意識を煽る愚かな農業ジャーナリストと称する輩もいた。
そんな農民は淘汰されていくだろう。ぬるま湯の中にいる日本農業は儲かることでは改革されない。お題目ではない本当の危機感の中でしか健康な変化は起きないのだ。冷害で潤ってしまった関連業界も同様だった。冷害が農業改革を遅らせてしまったとも言える。むしろ、まだ景気の良かった平成5年当時であれば、リストラを迫られている農業関連業界が新たな活路を見出すのももう少し容易であったろう。今さら言っても始まらない。
しかし、昨年の後半位から農業の川上・川下を問わず関連業界人たちの振る舞いがようやく変わってきたように思える。さらに今年に入ってからは、何処で聞いたか様々な業界人たちが本誌を訪ねてきて、変化を予感させる動きを語る。僕も「やっと」という思いに好感しているところだ。
そんなこともあって今月の特集では、今からちょうど10年前に上梓された唯是康彦氏の『尊農開国』からタイトルを借用し、創刊50号にして改めての原点回帰、そしてマンネリと言われながらこの50号で言いつづけた、誇りある日本農業のありようを考えてみた。
さらに、『月刊・農業経営者』という農業サービスのシステムが、さらに役立つ「農業経営情報コンビニエンス」となることを目指して、51号目から新たな情報サービスを始めることを案内(68・69頁)したい。
インターネットでのサービスも開始の予定であるが、それよりはるかに普及度が高く、数多くの方にご利用いただけるファックスを使う多目的な情報サービスである。そのサービス内容も順次拡充していく予定だ。新規のサービスにおいては、個別読者ごとの経営作目や関心内容に合わせての選別的な情報提供も可能になる。それを実施するためには、読者の皆様のファックス番号と共に経営作目をご案内いただく必要があるのでご連絡いただきたい。ファックスをお持ちで無い方も、2万円程度で購入が可能な製品もあるので、この際導入されてはいかがであろうか。
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