提言 | 視点 | ||
新規参入者を変革の起爆剤に | 農業経営者 7月号 | (2004/07/01)
こうした状況を多くの農家は甘んじて受けてしまった。その結果「日本はコメの国」といった精神性だけがまん延し、農業からモノ作りの喜びは失われた。後継者不足を嘆く声も強い。しかし、もうからない仕事を一体だれが受け継ぐと言うのだろうか。
大潟村に異人種集う
6月初旬、(株)関東・関西雇用創出機構という会社が、農業での起業を志す若者たち13人を秋田県大潟村に送り込み、現地での研修をスタートさせた。秋田の短大で学長を務めている私は、以前から大潟村と縁がある。その関係で研修生の世話役を頼まれ、彼らを「農援隊」と命名した。
このプロジェクトには全国から約150人の応募者があった。興味深いことに、金融機関に勤めていた人やエンジニア、コンピュータープログラマー、看護士など、従来なら「農業をやりたい」などと言い出さないような若者たちが目立った。
私は農業に革命を起こすのは、そうした新規参入者だと思っている。例えば、先端科学や機械工学の専門家が現場に入り、総合商社で貿易に携わった人が農産物の輸出ルートを開拓する。様々なキャリアをもつ人々が集まれば、新たな商品や販売方法を生み出せる。農業とは本来、総合的な産業だからだ。
かつて米国の日系人には、「キング」と呼ばれた人物がいた。ポテトキング・牛島謹爾やライスキング・国府田敬三郎など、彼らは海を渡って米国に来て、カリフォルニア農業を変えたとまで言われている。農援隊の壮行式で、私は若者たちにこの話を紹介し、キングたちのように気宇壮大な志を抱けと呼びかけた。そして、同じことをまずは国内農業で成し遂げてほしいと期待している。
農業ビッグバンへ
無論、農業には特別な技術や才能が求められるし、外部から来た人が簡単に習得できるものではないだろう。だが、新規参入者が起爆剤になれば、既存の農業にも刺激をもたらす。株式会社が農地を取得するのであれば、地域の農業はそれをうまく活用して、閉塞状況に風穴を開けるべきなのだ。
日本の農業の未来は決して暗くない。しかも農業が変われば、社会が変わる。特に地方が変わる。今後1、2年がターニングポイントになるだろうと私は見ている。
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