提言 | 視点 | ||
「特殊な産業」からの脱却を | 農業経営者 2月号 | (2005/02/01)
しかし、行政や農業関係者の多くは「農業は特殊な産業である」との意識から脱し切れていない。これには1920年代にまで遡る自作農主義や、その延長線上にある戦後の価格支持と公共事業政策が影響している。さらに、農協を中心とした社会主義システムが障害となり、「経営」「企業化」といった概念は置き去りにされてきた。
時代の転換点をチャンスに
地域経済の復活には、農林水産業の再生が欠かせない。そのためにもまず、農業にかかわる人たちは「農業は特殊な産業ではない」と認識すべきだろう。確かに農業は天候に左右され、収穫までの時間的スパンが長いなどの特徴がある。けれども、どんな産業にもそれぞれ特徴はあり、農業だけが例外とは言えない。
普通の産業である以上、良いものを作れば、流通から先は人任せといった仕組みも通用しない。良いものではなく、消費者が好むもの作り、工夫を凝らして販売をしなければ、ものは売れないのだ。
行政や農協が補助金を通じてあれこれ口を出す時代は終わった。もともと経営力のある農家は政府の金など当てにしていないだろうし、直接支払いが導入されても、補助の目的は環境保全などに限るのが望ましい。
企業の農業参入をもっと積極的に認めていく必要もあるが、他方では農業者が自ら海外展開を考える段階に入った。日本の農産物は品質面では国際競争力がある。農産物は大量生産になじまない商品だからこそ、ブランド化し、クオリティコントロールを徹底すれば、輸出の可能性が極めて大きい。
国内に目を向ければ、最近の消費者は食の安全や健康面に敏感で、かつ地域性や季節感を求めている。このことは、日本の農業が強烈なチャンスを秘めていることを意味する。地域で採れた食材がその土地で消費され、人の流れを含む循環が形成されたなら、地域社会は再び活性化するだろう。
生産と消費をつなぐ試み
「国民会議」では今秋、東京都心でのファーマーズマーケットを計画している。様々な地域の農水産物を持ち寄ってもらい、著名な料理人と組んで、消費者に調理法やレシピを紹介する。
良質な農産物は、食べる側に使いこなす能力があってこそ価値をもつ。つまりこの催しは主婦に対する食育であり、同時に、分断されてきた生産と消費を結ぶためのシステム作りでもある。こうした試みが、ひいては食文化の再生にもつながるのだと私は考えている。
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