提言 | 視点 | ||
翼があることを思い出せ | 農業経営者 3月号 | (2005/03/01)
国産大豆に翻弄された豆腐業界
3年前、国産大豆が大量に売れ残った時、全農は豆腐業界に「在庫の値段を3分の1に下げるから使ってくれ」と頭を下げた。各メーカーは渋々買ったが、翌年、天候の影響で収穫が半分に減ると、途端に大豆の市場価格は上がった。
僕は大豆問屋と一緒に全農に行き、「いっそ、豆腐用の安い大豆はもう日本では取れないと国民に発表してくれ」と頼んだ。しかし、彼らは結局何もしなかった。
そういうわけで、僕は日本の農業を信用していない。しかし、農家を我々と同じ「製造小売業」として見るならば、可能性が大いにあると考えている。
農家が八百屋を経営する
篠崎屋では上場前にスーパーへの卸をやめてしまった。工場直売所という業態をとり、それまでの卸価格と同額で直販するところから、新たなビジネスを始めた。
農業でも同じことはできる。試しにJA出荷やスーパーとの取引をやめ、出荷額と同じ値段で直接消費者に売ってみればいい。流通業には絶対に真似できない、製造小売の強みに気づくだろう。
農家が流通に頼っているのは、同じ品目ばかりを大量に作るからだ。そうではなく、多品目小ロットを揃え、販売スケジュールから逆算して作付けすれば、流通は必要ない。経費を抑え、鮮度と安さを売りにすれば、必ずお客さんは来る。選別もしなくていい。規格外の野菜でも安ければ、きっと喜んで買ってもらえる。
大切なのは「農家が八百屋を経営する」こと。なぜなら、商品について説得力をもって語れるのは、技術者でありメーカーである農家以外にいない。
今、各地の豆腐メーカーは経営難に陥っている。製造小売業という原点を見失い、販売を他人に任せてしまったからだ。ニワトリが翼のあるのを忘れ、飛べなくなったのと変わらない。
農業も自給自足を経て、余ったものを自ら売ったのが原点だったはずだ。自分たちに翼があることを思い出して欲しいと思う。
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