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編集長コラム

農業とフランチャイズビジネス | 農業経営者 7月号 |  (2005/07/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
コンビエンス・ストアの成功に農業の経営革新あるいは農村での事業開発に関する一つのヒントがある。

百貨店、スーパーマーケットの業績が低迷する流通・小売り業界にあってコンビニエンス・ストアの成長が著しい。日本でセブン・イレブンの第一号店が開店したのは1974年だ。奇しくも「大型スーパーの進出で地元店舗の経営が圧迫される」という理由で作られた大規模店舗法が施行された年だった。  
しかし、衰退していったのは人々の消費行動やライフスタイルの変化に対応できない小規模店舗だけではない。大店法施行の原因だった規模と低価格を売り物にした総合スーパーが苦戦を強いられていることに時代が象徴されている。

コンビニエンス・ストアの特色は地域の小規模事業者とフランチャイズ本部が、対等の立場で独立性を保ちつつ役割分担で共同事業に取り組むことにある。そして、それはますますそのコンビニエンス(利便性)の魅力を進化させ、若者ばかりでなく高齢化社会に対応する小売り・サービス業として人々の支持を得ている。さらに、スーパーが衰退し、価格は高くてもコンビニが消費者の支持を受ける理由は何か。それは、″欠乏の時代 とは異なる人々の要求を満たしているからであり、時代のパラダイム転換に応える価値を提供しているからなのだ。

コンビニのビジネスモデルは、酒店を中心とした旧態の個人小売業店舗を活性化させただけではない。地方の小さな町でも従来の小売店舗では果たし得なかった新しい多様なコンビニエンスを提供することを可能にしている。

セブン・イレブンでは一年間に商品の70%が入れ替わるというが、そんな商品やサービスの選択、店舗管理、労務管理、経理システム等々の経営管理ノウハウはもとより広告宣伝も本部がやってくれる。それで加盟店は販売に専念できるわけだ。

このコンビニ・ビジネスへの事業参画によって商店主たちが得た最も大きな財産は、チェーン本部から学んだ科学的な経営管理の手法なのではあるまいか。それまでの経験と惰性で行なってきた商店経営を脱却し、小規模個人店舗ながら最先端のビジネス足り得ているのである。

今、農業界そして農業経営者が必要としているのは、コンビニの商店主たちが学んだ科学的経営管理の知識ではないだろうか。さらに、市場(顧客)ニーズを反映させた最終の商品への加工適性やサービス内容に合わせた規格の農産物を生産するために、経験主義を脱した生産技術のマニュアル化と作業行程管理のシステム化を実現するための優れた食品メーカーや外食業などによる支援が有効なはずだ。

やがて現在の契約栽培という範疇を越えた企業との関係が始まる。市場や時代のニーズを的確に反映させた生産を、経済的に、容易に実現するために、畑からお店までが一気通貫につながったフランチャイズ・チェーンとしての農場経営が普通になる時代が来るのではなかろうか。

それは画一的な原料生産の合理化を可能にするだけではない。コンビニの品揃えはその地域あるいは店舗単位に異なっている。地域ごとの多様な農業や風土であればこその魅力を活かした観光農業やグリーンツーリズムと言われている分野においてもそのビジネスモデルは有効であろう。しかも安定したサービスレベルを保った全国ネットの観光農園などというものも登場するだろう。
Posted by 編集部 08:30

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コメント

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