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セミクローラトラクタ 人気の秘密 | 農業経営者 9月号 | (2005/09/01)
セミクローラトラクタの普及が勢いを増している。14馬力から125馬力までバラエティが広がり、開発当初の湿田での作業・走行性能を満たす段階から、セミクローラとしての特性を生かした第2、第3世代への改良が進んでいる。
最高時速33km以上という高速走行が可能な大型畑作タイプや、トレッドの変更ができる畑作管理用タイプなどがそれだ。これにより、これまでフルクローラや外車の独壇場であった作業分野にまで進出を果たしている。
大幅にけん引力や登坂性能が向上することから、セミクローラトラクタに対してひとクラス上の性能をすべてにおいて求めることがあるかもしれないが、ロアリンクの揚力や3Pの強度はベースマシンとなっているホイールタイプと大差がなく、ひとつの課題となっている。
しかし、今後、大規模経営が進みトラクタがより専用機化していけば、軽量・低踏圧性などの特性を生かし活躍の場を広げていくだろう。
セミクローラ登場と日本農業の新時代
セミクローラトラクタは、現在、(株)クボタが14馬力から125馬力の馬力別で8シリーズ19型式(基本型式)を販売しており、井関農機(株)が18馬力から75馬力までの3シリーズ13型式(同)、三菱農機(株)が18~34馬力の1シリーズ5型式を販売している。
クボタによれば、すでに同社の全トラクタ販売台数の内の8~9%を「パワクロ※」が占め、大型機種では20%を越える。さらに北海道に限定すれば大型での新規販売では約4分の1がセミクローラであるという。(以下つづく)
セミクローラで実現する作業と問題点
新潟県新潟市の坪谷利之氏((農)木津みずほ生産組合)は6年前からのパワクロユーザーである。同地域は潟地帯で受託圃場には条件の悪い田が多いという。同氏は「以前は、春の耕起・代かき作業時に数回はトラクタが田にはまっていた。しかし、今はその心配なく作業ができる。
しかも、パワクロで数年作業していると、だんだん圃場が改善されていくように感じる。さらに、あぜ塗り作業での効果は抜群だ。直進性が良く、圃場を傷めない。雪解け後のホイールでは入れないような時期でも作業ができる」と評価している。(以下つづく)
水田用セミクローラから次世代機種への展開
以下、読者から寄せられた耐久性に関する問題を中心に、(株)クボタの石橋善光氏(トラクタ事業推進部担当課長)に聞いた。
クボタの場合、42馬力以上を高速タイプとし、水田仕様の最高速は時速25km、畑仕様(105、125馬力)では時速33kmになっている。
石橋氏の話を要約すると以下の通りである。
―14馬力から89馬力ぐらいまでを水田用と位置付けています。高速化の要望が強いのは、圃場が分散した大規模農家で、とりわけ畑作農家の要求の第一が高速化でした。(以下つづく)
These satellite images show Grand Bahama before and after Dorian's wrath