農産物貿易問題で大きな分岐点と目されていた世界貿易機関(WTO)香港閣僚会議では、輸入農産物の関税削減率など具体的な合意は、今年4月に持ち越され、「重要品目」の扱いについては先送りされることになった。
しかし、これで胸をなで下ろし、すぐそこに迫った危機を忘れるなら、GATT(ガット、関税貿易一般協定)ウルグアイ・ラウンド合意に伴い最低輸入義務(ミニマム・アクセス)を受け入れたときの轍を、今一度踏むことになる。
早晩、外国産米の市場流入は確実に増える。米国・中国を始めとするコメ生産国は、より日本市場を魅力あるマーケットとして捉え、きたる低関税時代を見据え積極的な行動に出るはずだ。
2回に渡るこの特集の後編では、彼ら日本市場を狙う外国産地を現実的な競争相手と想定し、そのコメ生産の現状と販売戦略を分析する。それとともに、コメをめぐる経営環境の変化を契機に、農業経営者たちが担う日本のコメ産業が攻勢に転じる可能性を中国市場をターゲットに探っていく。