提言 | 視点 | ||
誰のためのジェネリックか | 農業経営者 4月号 | (2006/04/01)
科学的・論理的な議論を
特許が切れた農薬の後発品、いわゆるジェネリック農薬をめぐって、農水省は、先発品との同等性が確認できるものについては、登録申請に当たっての試験成績の提出を一部簡素化する措置をとっている。
問題は、試験成績の要求に科学的・論理的な理由があるかどうかだと思う。海外では、ジェネリック農薬の普及が進んでおり、国内でも医薬品・動物薬品の登録に関しては規制が緩和されていると聞く。
ジェネリック農薬は農業者の生産コストを下げ、消費者に利益をもたらす。国内農業の発展に大いに役立つと私は確信しているし、登録促進は急務だと考える。
日本農業の将来のカギを握るとされる農産物の輸出拡大にも、ジェネリック農薬は寄与するにちがいない。現在、日本産の果物などは主に味と形が評価され、高級品として特定層向けに輸出されている。生産コストが下がり、収量が上がれば、それに安さという魅力が加わる。ジェネリック農薬は、富裕層に偏らない輸出マーケティングを実現する可能性がある。
競争はつぶし合いではない
当社では設立以来、除草剤「ラウンドアップ」のジェネリック品を海外から輸入し、農薬取締法の適用を受けない「非農耕地用」として販売してきた。当初、希望小売価格は2,400円(500ml)だったが、今では8分の1の300円にまで下げている。
この価格はオリジナル品の価格に影響を与えた。農薬業界の中には「価格秩序を乱した」という受け止め方もあるかもしれない。
しかし、消費者・農業経営者に目を向けるならば、農薬の価格は乱れれば乱れるほど良い。それぞれの会社が品質・サービス・価格で徹底的に切磋琢磨するのが本来のあり方だと思う。
競争とは企業同士の潰し合いではない。むしろ、企業側には、利益追求に専念するのではなく、世の中の人に幸せをもたらす姿勢こそが求められる。ジェネリック農薬の登録制度がより緩和されることで、自由競争を招き、顧客の利益を最大限に追求する流れが定着するようにと希望している。
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