農業経営者取材 | スーパー読者の経営力が選ぶ あの商品この技術 | ||
秋田県大潟村 浅野真英氏が選んだ商品 | 農業経営者 5月号 | (2006/05/01)
■生産作物 / コメ21.3ha(あきたこまち)。もち米10ha(わたぼうし、たつこもち)。畑作3ha(黒大豆、黄大豆、小豆)
■労働構成 / 本人、父
■売り先 / コメは直売と小売・卸で比率は半々。もち米は小売・卸で、豆類は加工業者などへの直売。
収穫したコメの乾燥は60石2台と53石1台の計3台で。自作グレンコンテナを積んだダンプを大型ホッパにバックで付け、収穫物を一気に張り込む。投入された籾は、所定の乾燥機にシャッタで振り分けられる。収穫は1日およそ4ha弱(田1枚半)で、この3台の処理能力に対応している。
浅野氏はコメの品質を高いレベルで維持することに腐心しており、土質が異なる田に移る際は、途中でも作業を終える。砂質が混じる田でとれたコメは、最初の味はいいが劣化が早く梅雨を越すと極端に食味が落ちるため、等級検査で通るギリギリの15.5~15.9%の水分率で乾燥し優先的に出荷する。業者へは使い捨てのフレコンで玄米出荷。しかし、一部紙袋出荷もあるため、排出口は2系統(写真A)にしている。
現在、排出した玄米を一時的に貯めるタンク(写真B)を自作しており、これにより頻度の多い紙袋への投入の煩わしさを軽減する狙い。
浅野氏の圃場は、もともと河川が八郎潟に注ぐ河口付近に位置しており、肥沃な反面、堆積土中心で大潟村の中でも特に土の粒子が細かく沈みが深い。この中で作業するにはフルクローラの選択は絶対で、国産最高馬力の三菱製160馬力を選んだ。
このような圃場条件のため、浅野氏はレベリングだけではなく、プラウ、溝掘り、代かきまで、どの作業機にもレーザー受光器を取り付けられるようにしており、レーザー制御で作業精度を高めている。浅野氏がレーザーを使い始めたのは7年ほど前。しかしその有効性を知った他の生産者がそこかしこでレーザーを使用するようになったため、今や大潟村は“レーザー銀座”。レーザーにはチャンネルがなく、誤差を最小限にするために1台の発光器を複数の生産者で使うことも珍しくない。
多いときは5cmごとに基準点が設定されていることもあるという。そんなときは、キャビン内から受光器の高さを設定できる「デジ棒」を使ってトラクタの屋根から2mも高い位置でレーザーを受信することもある。枕地付近の排水の悪さは常に悩みの種。
右側のモミサブローで暗渠に対して直角に何本も簡易暗渠を施し改善を図る。
作業幅6mの大型代かきハロー。レーザーレベラで全面無代かきにしたいところだが、一部焼き物の土のように乾くとカチカチに固まってしまうところがあるため、このハローを使って代かきで均平をとる。
劇的な省力を可能にしたのがこの苗箱並べ機。4箱一度に並べることができ、通路を挟んで左右8列並べるハウスの片側を一度に並べられる。この機械を使うまで、播種後の苗箱並べは数人のパートを使っての作業だったが、導入後父親と浅野氏のふたり作業に。ハウスで箱を並べる浅野氏のもとに父親が2台の軽トラを使ってピストン輸送する。そうすることで、午前中に播種した約1200の苗箱を、昼食を挟んで3~4時までには並べ終えることが可能になった。
浅野氏は雑草と砂埃対策のため地面にラブシートを敷くが、この作業を苗箱並べと一緒にできないかと、同機の下にシートのロール取付用ガイドを自作で追加した。適度な負荷をかけないとシートが繰り出されないため、現在ガイドの角度を検証中。
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