特集 | ||
耕作放棄地は宝の山 | 農業経営者 5月号 | (2006/05/01)
本誌は創刊以来、府県での大規模畑作経営の可能性の大きさを呼びかけてきた。特に本誌14号(1995年12月号)の特集では、「伸びるぞ!府県の畑作野菜経営」と題する記事のもと、その経営戦略を紹介した。
それから10年。2005年センサスデータによれば、耕作放棄地は約38万5000ha(全耕地の9.7%)に達している。同時により条件の良い田や畑についても、経営能力のある農業経営者に提供せざるを得ない状況になっている。一方で多様な需要企業が産地と提携し商品開発を進めている。
本誌が提起する戦略は基本的に10年前の特集と変わらない。制度や政策への依存ではなく、農業経営者自身が「目線の揃う異業種」や地域を越えたネットワークを自ら構築していくことの中から生まれる、農業経営をこの特集で改めて提案する。
耕作放棄地を宝の山にする府県での大規模畑作経営戦略
農業経営者が耕作放棄地拡大に見るべき視点は以下に要約される。
1.「耕作放棄地拡大」「高齢化」「担い手不足」などの進行を、農業経営にとっての蕫事業チャンス﨟の拡大と捉える状況分析と戦略を持つこと。
2.とりわけ府県においてその可能性が大きく、経営規模においても北海道以上の経営が成立し得る条件が整いつつある。
3.土の持つ生産力を最大限に引き出しつつ、「投入コストあたりの収益」を最大化する。
4.単なる省力ではなく、コストの最小化を目指す質の高い機械化や労働力調達を検討し、経営として要求される最適の収量と品質を実現するための技術体系の革新を進める。
5.地域を越えたネットワーク構築、あるいは条件の異なる地域で出作りを行なう。
6.最終のマーケット、商品、サービスを担当する大小を問わぬ事業者と顧客とコンセプトを共有しつつ、契約を前提に生産に取り組むこと
--などである。(以下つづく)
耕作放棄地を宝に変える契約栽培
マーケットはパートナーになり得る農業経営者を待っている
2005年農林業センサスによれば、契約栽培を行っている「経営体数」は25万259(全経営体における割合は約12・7%)あった。本誌は耕作放棄地を宝に変えるキーワードは契約栽培であると考える。この取引でマーケットが進める戦略は?また、パートナーとして農業経営者に求めるものは何か。マーケット側の企業に聞いた。
契約栽培が増えた一番の理由は、リスクヘッジで、価格変動が前提の市況に依存せず、安定的に農産物を確保しようとするマーケット企業と利害が一致しているからだろう。確かに、生産者側にとって定まった売り先を確保することは、経営を安定させリスクを分散する正しい選択と言える。しかし、耕作放棄地という“宝の山”を文字通り宝に変えるには、契約栽培のもうひとつの側面に注目する必要がある。(以下つづく)
北海道型機械技術による府県畑作経営の可能性
期待される府県での大規模畑作経営発展の成否は、その経営観の持ち方と機械化のあり方にかかっている。
本質的にはどんな仕事でも基本は同じであろう。しかし、畑作農業とは、土の持つ生産力を最大限に引き出しつつ、「投入コストあたりの収益」の最大化を目指す経営である。
「そんなこと水稲作でも同じ」と思われるかもしれないが、水稲作は水田という生産装置によって守られている。水田での水稲作に馴染んできた人が、畑作、それも大規模な畑作経営に取り組む場合、土、作業、機械について、意識改革が必要になるだろう。また、園芸的な野菜作を続けてきた経営者の場合も同じだ。大規模で効率よく作物栽培に最適な質の高い作業をしていくには、従来の作業技術だけでは果たせない。
例えば、水稲は一作であれば畑でも作ることは可能だ。でも、二作は続かない。気遣うのは、畑作故の連作障害の回避策として語られる輪作の問題だけでない。(以下つづく)
5月19日、NHKテレビで、耕作放棄地の増加をビジネスチャンスとして受けとめているひとの話があった。
月刊「農業経営者」の特集を見ての話かどうかわかりませんが、とてもタイムリー!
実例のひとつとしてはそれなりの内容でした。
耕作放棄地について、狙っている人はいっぱいいるなぁと思った次第。
私の場合、現在のところ、労働力の問題で、なかなか手を広げなれないが、準備だけはしていまます。