農業技術 | 乾田直播による水田経営革新 | ||
Vol.5 肥培管理のしやすさが魅力の点播にて順調に播種作業終了 | 農業経営者 6月号 | (2006/06/01)
5月上旬、平均気温13度オーバー
◆播種
いよいよ種まきである。今年の矢久保農場では5月2日から5月4日まで作業を行った。品種はあきたこまち。10a当り乾籾約3.5kgの播種量である。播種機にはスガノ農機(株)のバーチカルハローシーダーを使い点播する。稲の発芽の最低気温は12度前後であり、1日の平均気温12度を超える時期に発芽するよう、種を播く時期を決めれば良い。
◆種子
厳しい選別と温度の低い水に長時間浸して充分水を吸わせた籾を、温湯に浸け芽だし処理をして、はと胸状になった種子を使う。種子の表面水を切り、水分で播種機に籾が付着しない状態にしておくことで準備が整う。種子の脱水作業は、播種作業と同時進行で行うほか、前日に脱水機にかけて水を切り、日陰に置くこともある。◆播種床
バーチカルハローと組み合わせた点播用播種機を使用している。10条播きで巾3m、時間当り0.5haの作業となる。レベラで整地した本田の土は内部に大きな塊があり、表層に近いところに粒の小さい土がある。種を播く直前に、播種床の土を細かくする目的でバーチカルハローを使っている。縦方向に土を撹拌し土の粒を小さくする。表面から5cm前後の深さまでの土を細かくする。これによって、播種、覆土、鎮圧までの工程が均一に行える。土の乾き具合であるが、機械に土が付いてくるような湿り気があっては作業精度が著しく落ちるため、乾くのを待って作業を行う。
◆播種深度
種を置く深さは発芽と苗立ちの大変重要な要因となる。限りなく浅いほうが日光による地温上昇の恩恵を直接受けることができ、早い発芽を可能とする。しかし、覆土が充分でないと鳥害にあったり、雨に覆土が洗われたりと悪影響が出るため、経験からも1.5cm前後が適当と思われる。土質にもよるが鎮圧された覆土の中1.5cmであれば、土の温度上昇の恩恵も受けやすく、酸素や土の湿り気も保たれ、発芽と苗立ちの環境としては十分である。◆播種密度
畝間30㎝、株間14㎝の設定で、平方メートル当り24株になる。一箇所に3〜4粒種子を落としていく。点播播種機であるため、このような設定が可能になる。品種の特性や土質そして各地方の気象条件等も加味し、それぞれ設定すべきである。特に品種の特性である分ケツの出かた、病気に対する抵抗性なども、播種密度の設定のために検討すべき事項である。今後の播種機開発に期待!
播種機には矢久保さんの使用している点播用の播種機やグレインドリル(穀物の播種機)型の条にまく播種機など、いろいろなタイプがある。
条播と点播の違いは、点播のほうが肥培管理がしやすい。理由は株として稲が育つか、ばらまきに近い筋として育つかの違いである。つまり、株として各稲の分ケツ数とその足し算でできる、株あたりの穂数の確保がしやすいのである。すじ状に出た苗は畝間は広く開いているが、条間は狭く、隣の苗とぶつかりながら成長していく。播種量も多くなり列の中で過密状態となってしまい、それぞれの苗の分ケツが不揃いとなり、結果としてそろった穂が確保しにくくなってしまう。揃った大粒の実をつけることが増収につながるが、それが阻害されてしまうと思うような収量増加は期待できない。
最近は、精度の高い播種機の候補として、バキューム(真空)播種機の試験も見られる。大豆や麦類、そして野菜類の播種には実際に使われている。点播で正確な一粒播きを行えるのが真空播種機である。円盤には種子の形状にあった穴が開いており、そこに種子の供給部から一粒ずつ種子を吸い付け、一定の間隔に落としていく構造である。籾の場合表面が滑らかではないため、吸引による円盤への吸い付けがまだ正確ではないのが難点ではあるが、穴の形状や吸引の強さなど、今後の改善が期待される。機械の耐久力もあり、正確な播種のための改善がされれば、コストパフォーマンスの点でも導入の検討に値する使い勝手の良い播種機となりえると思う。
しかし、まだ需要が小さく、メーカーが本気で開発に資金を投入する様子は見られない。一つの技術の確立には、道具の開発も重要なポイントである。レーザーレベラによる圃場の均平作業ができるようになり、乾田直播栽培における排水対策と苗立ちも問題が解決した。しかし、現状の播種機は作業能率と耐久性に問題が残る。簡単な操作で精度の高い播種作業ができること。そして耐久性があり低価格で購入できること。これらの条件が満たされる播種機であれば、乾田直播栽培がさらに安定した収量を得ることが可能となり、栽培コストの低減にもつながる。
技術の普及と道具の開発は、ニワトリと卵の関係にも似ている。しかし将来のコメ作りのために、ぜひとも良い道具が開発されることを期待している。
カリフォルニア情報
4月中旬まで降り続いた雨はようやくあがり、4月末からは連日30度と、春を通り越し一気に夏到来!例年なら、雨があがる3月中旬にトラクタが動き始め、4月中旬には種播きが始まっていますので、今年は生産者も精米業者も、いつ作業が始められるのか心配していました。
乾燥しやすい土質の圃場から順にトラクタが入り始め、24時間稼動体制で種播きの準備を進めていますが、2週間以上の遅れを取り戻すのは難しく、晩生の中粒種の良質米品種は作付面積が激減、手頃な価格の良質米と言われてきたカリフォルニア産プレミアム米は、出回りが減少し価格も上昇すると見られています。この減少分を埋めるのは、反収が高く5月中に播けば普通に収穫できる早稲中粒種です。輸出用やアメリカ国内の低価格商品として販売されます。
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