農業技術 | Made by Japaneseによる南米でのコメ作り | ||
ウルグアイでコメ作り(5)
乾籾価格200ドル/tで見合うコメ作り | 農業経営者 6月号 | (2006/06/01)
最高標高500mの平原の国
ウルグアイは標高が最高でも500m程度という平坦な平原が広がっている国である。国土面積は日本の半分だが、山がないため耕地になりえる面積は日本より広い。基本的に湿地が広がるような地域で稲作が行なわれる。かつては世界6位のコメ生産量を誇ったコメの国だが、タイ米の市場拡大により生産量は減少している。
先月号の記事の通り、同地では、インディカ種の播種量が標準とされて、10aあたり15〜18kgも播いている。しかも、催芽もせず異種籾も混入しているという状態である。にもかかわらず、あきたこまちの田で播種量の過剰は感じられても、きれいに苗立ちしている場所も少なくない。
我われがここで米作りを始めるにあたっては、日本からレーザーレベラを持ち込むことを前提にしている。何をおいても圃場均平の悪さが収穫量の少なさの第一の要因だと思うからだ。
播種については、日本のように気象条件の制約や、隣りの水田や水路から水が浸入してくるというような事がないので、それほど問題はないと考えている。現在、アグリダイアモンド社が所有するジョンディアの不耕起ドリルでも種子選別と催芽、それに播種量を減らすことで十分に対応できる。点播にこだわらなくても面積あたりの播種量を減らすことで収量は上がる。というのがすでにここで試作をしている田牧氏の意見だ。
さらに高い品質や収量を目指す日本国内での経営とは視点を変える必要がある。収量を増やす工夫は当然であるが、我われが今回の経営実験のなかで行いたいことは、ウルグアイで、最小限の投資で低コストに高品質の日本米を生産する目処を立てること。そのために「最高」ではなく「最適」の技術を選ぼうということだ。
収穫調製技術に問題あり
収穫については、使われている直流式コンバインでは如何ともし難い。そこには、日本から汎用コンバインを持ち込む。現状の機械では、20〜30%程度の収穫ロスが出ているようだ。
さらに、同地の乾燥調製は日本の常識では思いもよらない技術レベルである。ユーカリの材木に火を付け、その直火で籾を乾かすため、精米をしても燻製のような臭いがついてしまう。これでは、圃場でどれだけ良質米を生産したとしても、お米としての品質は高めようも無い。その後の調整や選別にも大いに問題がある。
しかし、現段階で我われは、投資が過大になる乾燥調製設備への投資を考えない。それは、もっと本格的な農業投資として行なわれるべきだからだ。初年度目の我われの目的は、まず、圃場生産段階で乾籾重量で平均6tという水準で良質米生産をすること。精米にすればこそ付加価値が上がることは言うまでもないが、他国のコメ生産者と同様に、我われも籾で売って利益の出るコメ生産を経験してみることだ。それも、籾でトン当たり200ドルという最低レベルの価格で利益の出せるコメ作りを実証してみたいからだ。
大きな夢を持ったウルグアイのコメ生産による"Made by Japanese"は、そうした経験の上に実現するのだと思う。
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