農業技術 | 乾田直播による水田経営革新 | ||
Vol.6 綿密な環境整備で生育順調 レベラ作業には反省点も | 農業経営者 7月号 | (2006/07/01)
水対策が効果を発揮 揃った苗立ちを確保
◆元肥・追肥一回施用
矢久保農場の今年の施肥は次の通りである。レーザーレベリングをした後に化成肥料を10a当たり80kg、窒素成分で10a当たり6.8kg施用している。ブロードキャスタでの表層散布である。播種作業時に100日タイプの緩効性肥料を10a当たり20kg、窒素成分で2.8kgを播種機にセットされた施肥ユニットで撒く。基本的に肥料はこれだけである。追肥は緩効性肥料を使い、さらに必要であれば行うという考え方である。稲の生育を見ながらの判断になる。◆水管理
播いた種の発芽と苗立ち確保のために、必要があれば水を入れて、生育を促進する。しかし、ほとんどの場合は播種後に降雨があるため、毎年、水分を補給することより排水することに気を使っている。今年は播種後に晴天が続き、土の乾燥が進んだため、灌水の必要があるかと準備を検討していたが、まとまった降雨があったため、灌漑用水を水田に入れることはしなかった。そのときの降雨が種の発芽を促進し、揃った苗立ちとなった。
播種直後に表面水が溜まらないようにと、籾殻暗渠を入れ「みず道」を作った効果はきちんと発揮できていた。
プラウで深く起こすこと、そして深いところには大きな土の塊が、表面には細かい土があるようにと計画して作業を行ってきた。その効果も充分に実証できている。まとまった雨でも短時間で表面水は消えるのである。その結果、揃った苗立ちが確保できたのである。その後は水田に水を入れそのまま保っている。
5月前半に平年より気温の低い時期はあったが、土の中から発芽した稲に生育遅延は見られなかった。乾燥が続いた場合は水を入れることによって種子に水分を供給し、発芽と苗立ちを確保しなければならない。この時の灌水は長時間水を溜めておく必要はない。水田の全体に水が回れば、すぐに排水するというタイミングで良い。
◆一発剤・除草剤の散布
稲が1.2~1.5葉期になった5月18日、日産化学の除草剤リボルバーエースを散布した。湛水状態の水田に10a当たり1kgの顆粒剤を、動力散布機のナイアガラホースを使用して散布した。雑草の発生状況と水の深さで効果が決まるため、きめ細かな観察が要求される。結果は非常に良く効いている。残効性が長く(メーカーカタログでは40~50日)遅く出てくるヒエなどの雑草にも対応できるのと、ホタルイに効果の高い成分が入っていることから、今年はこの除草剤に変更した。矢久保農場の水田雑草は周辺と同じヒエやアゼナなどの1年生雑草と、マツバイなどの多年生の雑草である。昨年の矢久保農場の水田にはホタルイが残ってしまい、そのままでは収量への影響と次年度の発生量の増加が心配されたため、手作業による完全除草を行った。今年の選択肢として初期の土壌処理による雑草の発生を抑える除草剤を検討していたが、低農薬栽培米としての生産・販売方針理由から今年は見送った。一般米としての生産であれば、初期の土壌処理剤と発生初期の除草剤使用の組み合わせで、ほぼ完全に対策ができる。
除草剤もその使用基準が厳しく決められていることは、環境に対する配慮や残留対策から当然のことである。しかし、稲用の除草剤であっても、通常の移植栽培用の除草剤がほとんどであり、直播栽培用の除草剤としての登録がされているものは少ない。そしてその中で乾田直播用の登録となるとさらに少なくなる。当然のことながら、環境への影響が小さく使いやすい、そして効果の高い乾田直播用除草剤の開発登録が待たれる。
前号で取り上げた播種機の開発と同じように、現状では乾田直播栽培がマイナーな栽培技術であるため、この技術専用になる除草剤の開発を行い、登録のための大きなコストをかけるわけにいかないというのが、除草剤メーカーの言い分である。しかし、新しい技術に対しては、機械や資材などの研究開発があってはじめて、今後の主要技術となり得るのである。改めて関連メーカーの積極的な取り組みを期待していることを述べておきたい。
◆生育状況
前述の通り播種時期およびその後の低温にあったものの、生育は順調であり播種約35日後の6月10日の段階で、5.5葉まで成長し分ケツも2本となった。昨年までの記録と比較して、2日程度、生育が進んでいると言う。種子の選別と処理によって良い状態の種子を使ったこと、そして発芽・苗立ちのための環境を整えたことが効果を発揮し、順調な生育が確保できた。移植時期に低温にあった稲とは大きな差が見られる。畦の草刈を1回実施するなど、雑草対策も期待通りにできた。これからは、水管理と稲の生育状況の観察が主な作業になる。今後の改善点
反省すべき点として、レーザーレベラの作業タイミングの問題がある。今年の春の天候と作業の進み具合との兼ね合いであったが、一部、土の表面が乾ききらない状態でレベラ作業を行った部分があった。心配していたが、やはり発芽の不揃いが出てしまった。充分に乾いていない状態でレーザーレベラをかけたため、土を練ってしまった部分が出ていた。
本来播種機にセットされているバーチカルハローが浅く土をほぐして、播種深を一定に保ちながら、播いた種を覆土することになっている。しかし、レベル作業時に練ってしまった土の部分では、種子の深さが定まらず地表に露出した種子が見えたりもした。土の細かさや固さが播種機の性能に影響を与えた結果だと考えられる。やはりプラウ耕の後のレベリング時には、乾くのを待って作業を行う必要があることを痛感した。
また、溝掘りにも同様のことが言える。表面水の排水、そして水を入れるときのために、水田の周囲や中に溝切機で溝を作る作業がある。これも目的どおりの溝になるよう作業機と作業方法を再確認する必要がある。
春先あるいは刈り取り後からの水田を乾かす対策が重要であることを、再認識した。
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