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編集長コラム

農業規制改革に読者の声を伝えよう | 農業経営者 8月号 | (2006/08/01)

【「農業経営者」編集長 昆 吉則 -profile
内閣府の規制改革・民間開放推進会議の農業ワーキンググループから協力を要請された。現実の農業経営あるいは商売の現場に発した声を反映させたいという事務局の意向であろう。規制改革に現場の声を反映させる機会が与えられるのは有り難いことだ。

しかし、僕の基本的な考え方は、規制改革を語るより農業経営者自身が市場社会あるいは目の前にいる顧客の要求に答えることで変革は進むのだと考えている。官の指導ではなくマーケットの力こそが欠乏の時代の論理に支配された農業を変える力になると思うからだ。

宅配便のビジネスの成功は、郵政や運輸の規制がなくなったから実現したわけではない。ヤマト運輸などが事業の可能性を信じて、法律や制度の規制に抗し、また競争の中で市場が求めるサービス開発に取り組んだからだ。彼らは自らに与えられている規制とセットになった既得利権を捨てることで、それを実現したことも忘れるべきではない。
今の日本であればこそ、農業に対して多様なニーズがあり、農業経営のチャンスもまた多様に存在する。それを先取りし、規模や売上の大小に関わらず、事業経営として農業を成功させて見せること。それが肝心なのだ。

規制の有無に関わらず、新しい事業には困難や抵抗が付きまとう。そんなことはあたりまえなのだ。それでも、能力のある者、一心にそして地道に可能性を追い続ける者がそれを実現する。強者だから勝つのではなく、必要とされる者であれば選ばれるのだ。そして、彼は時にチャレンジする者の意欲を挫けさせる“正義の仮面を被った嫉妬”をも笑って飲み込み、人々を納得させていく。本誌の読者の中にもそんな農業経営者たちがたくさんいるはずだ。

彼らの事業や商品やサービスへの顧客(市場社会)の支持、その成功があって、初めて人々は、それまでの制度や法律や組織のかたちが時代錯誤であることに気付くのだ。

そう考える僕が規制改革の手伝いをしようと思うのは、市場の期待に応えようとする農業経営者たちのチャレンジに期待するとともに、自らの居場所を守るためだけに旧弊を守ろうとする人々やシステムを、今、取り除かなければ、日本農業は本当に安楽死してしまうと思うほど状況が差し迫っているからだ。そしてなにより、それが日本農業に新しい可能性をもたらすと確信するからだ。

コメの奨励品種登録制度や農産物検査法のあり方が市場ニーズに応えた多様な民間育種品種の導入を妨げてはいないか? 現在の農薬登録制度はこのままでよいのか? 農業委員会はいかなる機能を果たしているのか? 農協はそして全農は日本の農業を代表する団体であるというべきなのか……。

昨年度の規制改革・民間開放推進会議でそ上に乗った農地法問題。株式会社の参入問題ばかりがクローズアップされて農業界の抵抗を受けて潰されてしまった。

僕は、多様なプレーヤーの農業参入を排除することは農業に取っての大きな損失だと思う。そして、戦後の農地改革の理念によって作られている現在の農地法は、根本的に考え直すべきだと考えている。

日本農業の産業化と農業・農村の活性化を進めよう。改めて農業経営者、関連業界人、行政や農協で現場の仕事に取り組まれている読者の皆様よりご意見を、規制改革への批判を含めてお聞かせ願いたい。
Posted by 編集部 08:30

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コメント

異論なし。しかし一般の農家に支持されないだろうなぁと思いました。私が言わずともご存知かとは思いますが。

Posted by bb  2006/08/05 15:07:11

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