特集 | ||
農業経営者2004人意識調査でわかった
経営発展のための3つの条件 | 農業経営者 9月号 | (2006/09/01)
経営を発展させる 48.8%
顧客の立場で考えられる経営感覚の習得が重要 50.0%
さらに革新的な技術が導入されるべき 73.6%
遺伝子組み換え技術は日本農業にとって必要 43.8%
乾田直播技術は日本農業にとって必要 43.8%
巷の“常識”に違和感あり
調査主体:株式会社農業技術通信社 農業経営者編集部
調査目的:農業に事業的に取り組む農家が、WTO農業交渉や補助金の大規模農家への集中などの環境変化の中で、これからの農業経営と技術革新についてどのような考えや意識を持っているか明らかにする
調査対象者:全国の農業経営者2,004名
(うち、年間販売額1000万円以上1,089人)
調査方法:郵送・FAX・メールによるアンケート調査
時代の変化をチャンスととらえて、経営を発展させる——本誌が3月に農業経営者2000人を対象に行ったアンケート調査によると、全体の半数、年間売上高1000万円以上の経営者の5割が、攻めの姿勢で経営に臨んでいることがわかった。
本誌では、この調査結果を元に、各地の農業経営者に追加の電話インタビューを実施。その結果、経営を現状のまま継続させると回答した農業経営者は、農地確保や資金面での障害を意識しながら、前向きな姿勢を堅持しているケースが多かった。また、経営を縮小すると回答した農業経営者からは、地域の“担い手”にバトンを譲る決断をしたという声が聞かれた。
さらに、調査結果からは、半数の農業経営者が、生産だけを考える農業から、顧客の立場でものを考える商業的な経営感覚、マーケット対応力と、コスト削減を重視していることも判明。合わせて、行政、農協、関連業界にも改革を求める意見も多く、農産物流通の革新も必要と考えていることがわかった。
日本農業が、生産のルーチンワークの時代を脱し、農業経営者がビジネスとして取り組む時代が到来している。
この新時代に必要なのは、新しい技術。農業を取り巻く環境や寄せられるニーズの変化、経営規模の拡大に対応できる、技術革新が必要とされている。
こうした状況の中、巷間ではマイナスのイメージばかりが伝えられる遺伝子組み換え技術に対しては、むしろ期待する声の多さが目立った。実に4割の農業経営者が、この技術が日本農業に必要と考えており、JAS有機取得農家でも3割、特別栽培農家でも4割が、必要であり、条件が整えば栽培したいという意向を持っていることがわかった。
ただし、栽培意向を持つ農業経営者も、半数はあくまでも消費者の理解が得られればと条件を付けている。ここにも、マーケットを無視した生産ありきの農業の時代ではないとする意識が浸透している様が浮き彫りになった形だ。
新しい技術としては、稲作経営者の7割が、乾田直播が必要と考え、6割が栽培意向を持つ。
ただ、これら新技術についての情報は、大多数の農業経営者が雑誌と新聞から得ており、行政や農協が十分に役割を果たせていない実態も判明した。
調査結果を、電話インタビューに寄せられた声を交えて紹介する。
売上高1000万円以上の農業経営者の48.8%
『経営を発展させる』
農業経営者の半数は、経営を発展させると回答。現状のまま継続させるという経営者は、農地確保や資金の問題などが悩みだが、攻めの姿勢を失っているわけではない。縮小させる農家は、地域に“担い手”を見つけ、安心して任せようとしている。担い手を中心とした農業の時代が到来している。(以下つづく)
農業経営者の50.0%
『顧客の立場で考えられる経営感覚の習得が重要』
生産だけ考えていればいい農家の時代は終わった。今、市場から求められているのは、ニーズをキャッチし、顧客が必要とする商品と情報を発信でき、科学的な経営手法にも明るい経営者だ。この時代に対応できなければ、行政と関連団体も退場するしかない。流通の形も、これまでの延長ではない、別なものへと変わっていく。(以下つづく)
農業経営者の73.6%
『さらに革新的な技術が導入されるべき』
ほとんどの農業経営者は、新しい技術が必要と答えた。経営環境も、“担い手”一人当たりの耕作面積も大きく変わる中、生産の方法だけが昔のままというわけにはいかないからだ。特に、買い手を満足させ、自分たちにとってもメリットの大きな新しい栽培体系を待望する声は多い。土地と人の効率アップのための技術も必要だ。(以下つづく)
農業経営者の43.8%
『遺伝子組み換え技術は日本農業にとって必要』
(JAS有機取得農家の31.7%、特別栽培農家の39.2%も「必要」と回答)
「遺伝子組み換え」は、消費者が嫌う言葉の代表的なものの一つであり、一般のテレビや新聞はそれをいかに排除するかという話題を取り上げることが多い。ところが、農業経営者の4割はその技術が必要であり、消費者の理解が得られれば栽培してみたいと考えている。また、行政や農協などからはあまり情報を得られていない。(以下つづく)
農業経営者の43.8%
『乾田直播技術は日本農業にとって必要』
乾田直播は、苗を準備して移植する時間とコストを削減する稲作技術。大規模化と省力化につながるものとして、7割の稲作経営者が必要と考えている。ただし、雑草、機械への投資、収量減の恐れなどが懸念材料。ところが、この技術についても情報源は雑誌と新聞がメインで、行政や農協から情報を得ている経営者は少ない。(以下つづく)
巷の“常識”に違和感あり』
「自給率を上げるべき」「有機栽培を増やすべき」「効率追う農業はだめ」——一般の消費者が抱きがちな“常識”に、農業経営者たちは違和感を感じている。農家が消費の現場を知らないことも問題だが、消費者が農業生産の現場を知らないことも問題だ。こうした意識の壁をどう壊すかは、農業経営者にとっての“宿題”の一つだ。(以下つづく)
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