農業技術 | 乾田直播による水田経営革新 | ||
Vol.9 乾田直播稲の生育は順調であった | 農業経営者 10月号 | (2006/10/01)
【コメ産業コンサルタント 田牧一郎 -profile
】
今年の単位面積当たりの予想収穫量は、平年を上回る玄米600kgと見ている。収量構成要素それぞれが、昨年対比で上回っていると見られる。面積当たりの茎数は播種密度を少し上げたため、株数が増加し分ケツも平年並みであり、結果として穂数が多く確保できた。着粒数も、遅効性肥料と追肥(10a当たり1.2kgの窒素)の効果もあり多く着いている。登熟歩合と千粒重は直播稲の違いが明確に出て、非常に良い状態である。最終的には刈り取りをして実収量が測定できるが、予測値と大きな差は出ないと思われる。
「好天に恵まれたから」と謙遜する矢久保氏であるが、今年は昨年までとは違ういくつかの対策をしている。先に紹介したような反省点もあるが、除草剤を変えたことで、雑草対策がほぼ完全にできた。天候に合わせた追肥、そして収穫間際までの湛水、これが今年の好天を収量増加に結びつけた技術対策の基本である。
このように計画に近い収穫量が確保できる要因はどこにあるのか? 移植栽培も同じであるが、作業は同じように行っていても、毎年の天候が異なるため、結果としての反収に差が出る。正しい答えではあるが、これでは毎年の天候に影響される不安定なコメ作りから脱却し得ない。そうならないための栽培技術であり、肥料・農薬など生産資材の新商品の使用である。気象条件の変動は織り込み済みでの栽培であり、目標反収を定めての栽培がある。
移植栽培でも収量構成要素の確保によって反収が決まるため、肥培管理の技術対策がある。稲作経営の技術担当者は、毎年作業の始まる前に栽培計画を立てていると思う。単位面積当たりの植え付け株数から、一株の植え付け本数、そして移植用苗の箱あたりの播種量、使用する種子の選別度合いなど、順序をたどって基本的な目標数値の決定を行なっているはずである。
これによって栽培面積との兼ね合いで、種子や資材の購入、そして作業の計画を立てることになる。これらの計画がその通り実行できたかどうかが、結果に大きな影響を及ぼすことになる。箱あたりの播種量は予定通りであったか? 多すぎることで、軟弱な苗になり分ケツの確保に遅れの出る可能性が生じる。移植作業は計画通りできたか?
株当たりの植え付け本数は予定通りであったか、ここで多すぎると過繁茂の株になってしまう。水の深さや除草剤のタイミングは正確にできたか? 毎年慣れた同じ作業をしているつもりでも、少しずつ実施した内容が変化しているのが実態である。これを「自然相手の仕事だから」といってしまえば、そこまでの話である。毎年同じようにコメを作っていても、天候に左右され収量の不安定な経営になっているのである。できる限り正確に作業は行うこと、そして天候に影響されたイネの生育を、何とか計画に近い姿になるよう管理するのが、技術であり努力である。結果は基本に忠実な作業ができて初めて期待できるものである。
乾田直播栽培も全く同じことである。移植栽培の代かきに変わるレベリングが、大きなポイントであることは、毎回のように述べている。結果はレベリングと排水対策が基本通りにできているかどうかで決まるといっても、過言ではない。もちろん各種作業は計画通りできていることが前提条件である。播種量と播種深度、鎮圧と土の水分、これで苗立ち数が決まり、最終的に穂数が決まるもとになる。水を入れてからは移植栽培と同じように管理を行なう。イネの分ケツ状態を見ながら雑草対策を行ない、分ケツ期そして出穂期などイネが養分を必要とする時期に倒状や病気も考慮しながら追肥を実施する。これらの結果が反収に直接影響する。
乾田直播栽培は、面積当たりの作業時間が短いことが移植栽培と大きく異なり、栽培規模の拡大に有効な手段である。短時間でできるということは、経営面積が一定のときは、栽培に必要なそれぞれの作業に充分な時間を使うことができるということでもある。言い方を換えると、それぞれの作業を計画通りに行なえる時間的な余裕ができるということである。これが毎年安定した収穫量を確保するための基本になる。
カリフォルニアのコメ作りも、9月中旬からあきたこまち、そして下旬からコシヒカリの刈り取りが行われる。今年は日本品種の栽培に初めて取り組んだ若い生産者から、10年以上栽培を行っているベテラン生産者まで、多くの生産者のイネを見てきた。丁寧な作業ができた圃場、あるいは遅くまで降った雨の影響で丁寧な作業ができないまま作付けせざるを得なかった水田など、条件の異なる栽培があった。排水時期と方法を打ち合わせるために、それぞれの圃場を回りながら、それらの予想収穫量やイネの生育状況、そして収穫作業までの管理について、短時間ながら密度の濃い話をした。結果はあくまでも収穫してみるまで正確には出てこないが、今までの経験からおおよその見当はつく。飛行機による湛水直播栽培の最大の欠点であるイネの倒伏が、収穫2〜3週間前から激しくなる。少し風が吹いただけでイネが傾き、毎日見ている生産者は、毎年のことだといいながらもヒヤヒヤして見ているのが実態である。「また今年も刈り取りに時間がかかる。コンバインが故障しないといいが」と思いながらイネを見ている。
しかしそんな中、草丈が抑えられた圃場もある。播種量の調整やチッ素肥料の配分で、極力草丈を低くする努力の結果である。水の深さも注意しながら栽培してきた圃場で、反収は決して高くないが、平均以上には行くはずである。ひどい倒伏状態にならず、効率よい刈り取り作業になり、収穫ロスも最小限に抑えられるはずだ。これも結果が楽しみなイネである。
不安定なイネの生育を補正する管理技術
このように計画に近い収穫量が確保できる要因はどこにあるのか? 移植栽培も同じであるが、作業は同じように行っていても、毎年の天候が異なるため、結果としての反収に差が出る。正しい答えではあるが、これでは毎年の天候に影響される不安定なコメ作りから脱却し得ない。そうならないための栽培技術であり、肥料・農薬など生産資材の新商品の使用である。気象条件の変動は織り込み済みでの栽培であり、目標反収を定めての栽培がある。
移植栽培でも収量構成要素の確保によって反収が決まるため、肥培管理の技術対策がある。稲作経営の技術担当者は、毎年作業の始まる前に栽培計画を立てていると思う。単位面積当たりの植え付け株数から、一株の植え付け本数、そして移植用苗の箱あたりの播種量、使用する種子の選別度合いなど、順序をたどって基本的な目標数値の決定を行なっているはずである。
これによって栽培面積との兼ね合いで、種子や資材の購入、そして作業の計画を立てることになる。これらの計画がその通り実行できたかどうかが、結果に大きな影響を及ぼすことになる。箱あたりの播種量は予定通りであったか? 多すぎることで、軟弱な苗になり分ケツの確保に遅れの出る可能性が生じる。移植作業は計画通りできたか?
株当たりの植え付け本数は予定通りであったか、ここで多すぎると過繁茂の株になってしまう。水の深さや除草剤のタイミングは正確にできたか? 毎年慣れた同じ作業をしているつもりでも、少しずつ実施した内容が変化しているのが実態である。これを「自然相手の仕事だから」といってしまえば、そこまでの話である。毎年同じようにコメを作っていても、天候に左右され収量の不安定な経営になっているのである。できる限り正確に作業は行うこと、そして天候に影響されたイネの生育を、何とか計画に近い姿になるよう管理するのが、技術であり努力である。結果は基本に忠実な作業ができて初めて期待できるものである。
基本に徹して安定した収穫を
乾田直播栽培も全く同じことである。移植栽培の代かきに変わるレベリングが、大きなポイントであることは、毎回のように述べている。結果はレベリングと排水対策が基本通りにできているかどうかで決まるといっても、過言ではない。もちろん各種作業は計画通りできていることが前提条件である。播種量と播種深度、鎮圧と土の水分、これで苗立ち数が決まり、最終的に穂数が決まるもとになる。水を入れてからは移植栽培と同じように管理を行なう。イネの分ケツ状態を見ながら雑草対策を行ない、分ケツ期そして出穂期などイネが養分を必要とする時期に倒状や病気も考慮しながら追肥を実施する。これらの結果が反収に直接影響する。
乾田直播栽培は、面積当たりの作業時間が短いことが移植栽培と大きく異なり、栽培規模の拡大に有効な手段である。短時間でできるということは、経営面積が一定のときは、栽培に必要なそれぞれの作業に充分な時間を使うことができるということでもある。言い方を換えると、それぞれの作業を計画通りに行なえる時間的な余裕ができるということである。これが毎年安定した収穫量を確保するための基本になる。
収穫が近づくカリフォルニア
カリフォルニアのコメ作りも、9月中旬からあきたこまち、そして下旬からコシヒカリの刈り取りが行われる。今年は日本品種の栽培に初めて取り組んだ若い生産者から、10年以上栽培を行っているベテラン生産者まで、多くの生産者のイネを見てきた。丁寧な作業ができた圃場、あるいは遅くまで降った雨の影響で丁寧な作業ができないまま作付けせざるを得なかった水田など、条件の異なる栽培があった。排水時期と方法を打ち合わせるために、それぞれの圃場を回りながら、それらの予想収穫量やイネの生育状況、そして収穫作業までの管理について、短時間ながら密度の濃い話をした。結果はあくまでも収穫してみるまで正確には出てこないが、今までの経験からおおよその見当はつく。飛行機による湛水直播栽培の最大の欠点であるイネの倒伏が、収穫2〜3週間前から激しくなる。少し風が吹いただけでイネが傾き、毎日見ている生産者は、毎年のことだといいながらもヒヤヒヤして見ているのが実態である。「また今年も刈り取りに時間がかかる。コンバインが故障しないといいが」と思いながらイネを見ている。
しかしそんな中、草丈が抑えられた圃場もある。播種量の調整やチッ素肥料の配分で、極力草丈を低くする努力の結果である。水の深さも注意しながら栽培してきた圃場で、反収は決して高くないが、平均以上には行くはずである。ひどい倒伏状態にならず、効率よい刈り取り作業になり、収穫ロスも最小限に抑えられるはずだ。これも結果が楽しみなイネである。
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tider