*編集長ブログ | ||
NHK一連の農業番組「ライスショック」「日本の、これから『どうする?私たちの主食』」を見る (2007/10/22)
僕もブログというものを始めることになった。始めると言うより、スタッフの強要によって始めさせられるのである。
しかし、ほぼ同世代の大泉一貫氏(http://www.ohizumi.jp/)や市川稔氏(http://irb.co.jp/)の勤勉さを知っているだけに、怠け者の僕もやって みるかという気になった。
それに、このところ、NHKをはじめ各メディアがやたらと農業を取り上げるようになった。僕のところにも、企画の相談や取材でたくさんのジャーナリ ストが来る。NHK、TV朝日、週刊ダイアモンド、週刊エコノミスト、VOICE等々。
民主党のいんちき政策と参議院選敗北後の自民党のうろたえ、そしてついに 破たんした農協のコメ流通支配に、一般メディアもあらためて農業ネタが売れると読んだのだろう。
しかし、面白いのは、農業界ではマイナーグループであるはずの我が仲間たちが、一気にTVなどに登場していることだ。
特に、NHKでは、先週以来、集中的に農業問題を取り上げている。 その最初の番組であった10月14、15日に放映された「ライスショック あなたの主食は誰が作る第1回 世界がコシヒカリを作り始めた」 を見て、何だコリャ?と思った。その不安をあおり、全中提供かと思われる偏向ぶりにだ。
その番組でコメントを求められている本間正義氏(東大教授)の発言は、“日本農民の敵”とでも思わせたいかのような編集。 不安を煽り、「日本農業を守れ!」という大合唱でも始めるつもりかと思わされた。 しかし、善意に解すると、それはその後の番組に続けるための戦略だったのかもしれない。
19日放映の「地域発!どうする日本食を未来につなぐには」では、宮崎の新福秀治氏、群馬の澤浦彰一氏など本誌でもおなじみの農業経営者が紹介さ れ、コメンテータの一人は大泉一貫氏だった。
そして、20日の生討論番組「日本の、これから『どうする?私たちの主食』」。
本間正義氏(東大教授)の他、市川稔氏、面川義明氏(宮城県)、宮井能雅氏らが出演することは知っていたが、番組が始まってみると、生産者グルー プの中に見知った農業経営者の顔がいる。これなら、案外まともな番組になると思った。 事実、消費者代表あるいは関連業界人たちやコメンテータを含めて(あの東京農大の先生を除けば)、意見の相違はあれ概ね僕も納得できる極めて良識的な意見ばかりだった。農業にとっては本当にありがたいことである。
生産者代表としては、どこかの回し者のような農家数名と、この40年間く らい日本農業新聞や地方新聞に同じような投書を書き続けているのではないかと思われるお年を召されたお百姓さんも登場はしていた。それはNHKとしてはやむをえないだろう。
しかし、問題であったのは、本心としてはもっとまともな見解を示しそうな人までが、それを言わずに農民代表の役を演じさせられていたことだ。彼らもまた、ただ無原則に「農業を守れ」と言っているかのように番組が進行させられていったことだ。
問題は、番組制作者あらかじめ用意した「問いの設定」に問題があったと思う。生産者と消費者を意図的に対立的に議論させるべく作られた問いだからだ。 その中で、確信犯的に”悪役”に徹していた宮井氏が悪態をついた。
「私は父の代まではコメを作っていましたが、今では約100haの経営耕地全てで麦と大豆の転作をやってます。コメが生産過剰になるから農水省は転作をしろといって補助金を出す。それが10aでいくらになるかはここにいる農家皆さんなら知っているでしょ。国はコメを作らせないために壮大に税金を使ってくれているのです。だ から私はハッピーです。だから皆さんも転作をしたら?」
彼は討論番組に出演している生産者の中では数えるほどしかいないコメ自由化容認派。しかも、農協米価が下がり稲作農家の経営が危機に瀕していると いうのが番組の伏線になっている中で、彼の自虐的とも言えるコメント(本人はそう考えてはいないのだが)は、被害者意識でコメ農業を語る生産者の多くを絶句させてしまった。
それ以外にも彼は面白いことをたくさん話していた。あの短い番組の中では言葉足らずであったにしても、本間氏や市川氏あるいは多くの消費者代表の人々が語ったまともな議論を、現場的に語る貴重な証言だったと思う。彼の表現を不快に感じたかもしれないが、多くの良識的な生産者も、彼の言葉を否定は出来ないのではあるまいか。
今月号の本誌で僕が書く農業経営者ルポは、あの悪役宮井君を主人公にして書く。「不肖・宮井、今年も嫌われてやっています!」というタイトルにするつも り。
記事の締め切りが迫っているので、今日はこれくらいにしておきます。
多分、多くの方達が土曜日に放送された 日本のこれから 食を
ごらんになったと思います。
TVで放送された私の発言への苦情はNHKまでお願いたします。
さて、今回はなぜキッコーマンの会長に食って掛かったか。
それは20年ほど前に、ある方からの紹介で、私が大豆を栽培していると
言うことで、キッコーマンの購買担当者を紹介していただきました。
しかし購買担当の彼は キッコーマンでは大豆からしょうゆは作っていません!
と発言。
私は驚き え?
彼は 自信たっぷりと当社のしょうゆ は大豆かす、つまり輸入され、
邪魔な油分を取り除いた大豆からしょうゆ をつくっています。
大豆の油部分は正直、しょうゆ作りには邪魔なのです と発言した。
あっそうだ と彼は思いだしたように、
そういえば国産の無農薬(多分当時は有機と言わなかった)大豆でつくった
しょうゆの樽がありましたね。
製造担当者を決めて特別に納めさせていただいています。
北海道の大豆は煮豆にでも販売されたら良いのではないですか?
ハッハッハッ と言われ正直カチンときました。
そして20年経って会長に当時の思いをぶつけた次第です。
自宅に帰り、取り引き関係の会社に問い合わせたところ、キッコーマンとの
取り引きは全くなく、今回はイジメに会わなくてすみそうです。
愛する奥様からは バカじゃないの? 言われましたが手にはしっかり
ヤマサしょうゆを持っていました。
ところでその丹念に作られた国産無農薬大豆から出来たしょうゆは
どこに特別に納められているかご存知ですか?
それは皇族です。
北海道
宮井能雅