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先入観で変えられる味覚 | 農業経営者 1月号 | (2008/01/01)
本来の味と異なる“味覚”
人間は先入観を与えられて“期待”が生まれると、その期待に自ら合わせようとする心理が働き、知覚機能に影響を及ぼすのである。においでも「甘い」と先に言われたら甘く感じようとするし、「酸っぱい」と言われたら酸っぱくなる。最初のインパクトの与え方で、受け取り方は変わる。
脳内において味覚情報は、眉の奥にある眼窩前頭皮質から視床下部を通じて処理されるというのが定説だが、詳細はまだ明らかになっていない。ただしメカニズムとしては、長期間記憶を残す場合、そのままだとデータ量が多いので言葉に置き換えられる。つまり記憶は言語でしか保存されない。したがって、与えられる言葉次第で、味覚は大きく変わってくる。舌や鼻で感じている本来の味とは相違が出てきてしまうのである。
その他、影響を与える心理作用として、ハロー・エフェクト(光背効果)も挙げられる。実際は専門家ではなくても白衣を着た人物が「体にいい」とコメントすると、そのように思い込んでしまう心理作用だ。日本では人の話に意見して議論するほうが失礼にあたるし、一を聞いて十を知ろうとする文化がある。先入観にとらわれやすい土壌はあるかもしれない。
期待を抱かせる農業に
こうした味覚と心理作用の分析結果については、米国、中でも携帯食市場に強い軍隊が膨大な情報を持っていると言われている。最近、約10年前のデータも徐々に開示され始めた。今後、農業経営者も研究する価値があるはずだ。
なお、先述の実験で茶摘みのシーンを含むCMを見せても、その印象は好意的な心理作用をもたらさなかった。消費者は、農業現場のリアリティーを必要としていないのだ。こういった意識面でのギャップを埋める消費者教育は必要になるだろう。しかし、最も効果的な方法は、農業そのものの期待値を上げさせる商品、あるいはキーマンが登場すること以外にないように思う。
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