【早稲田大学 国際教養学部 教授 池田清彦】
世間一般に限らず、農業界でもGM(遺伝子組み換え)作物は危険という風潮が根強いと聞く。しかし、ごく当たり前の考え方をする生物学者からすれば、GM作物が特別に危険な存在であるとは思えない。純粋な自然交配によっても危険な品種ができないとも限らない。
反対にGM作物は遺伝子の配列がわかっている上に、検査を通してどのくらいの毒を持っているかもすでに明らかになっている。どちらが危険であるかなど、一概には言い切れない。そもそも排泄機能がなく、老廃物がたまる構造の植物は、程度の差こそあれ、本来毒性を有している。手つかずの自然で育てられた作物は安全で、そうでないものは危険という発想を改める必要がある。