時流 | 土門「辛」聞 | ||
農水省の焦りで見えてきた減反終焉の日 | 農業経営者 3月号 | (2008/03/01)
【土門 剛 -profile
】
「生産調整目標達成のための合意書」。こんな文書が御用納めの前日(12月27日)に開かれた全国水田農業推進協議会の場で取り交わされた。相当事情通の本誌読者でも「エッ、その合意書って何なの」と疑問に思われるに違いない。全国水田農業推進協議会。これまた「それって何の組織」と疑問を抱かれるだろう。農水省が急ぎ作った、別名「減反推進協議会」のことである。都道府県や市町村ごとに設置されている「水田農業推進協議会」の全国版という位置づけである。構成メンバーや合意書の内容(38ページ掲載)を見れば、いかに泥縄的かがわかる。農水省の焦りもストレートに伝わってくる。
減反問題は、売れない者が対応すれば、簡単に解決するのである。売る力がないのにもかかわらず、コメを作ったり、コメを集荷したりする者がいるから、問題が一向に解決しない。つまり、減反の大半は農協組織固有の問題と言い切れる。商人系業者は、売れないコメは絶対に買わない。そんなことをしたら、在庫を抱えて会社を潰してしまうのだ。この基本原則を貫けば減反問題は解決するというのが筆者の見解である。
ところがJA全中とJA全農に、もはや農協組織に減反問題を解決できる力はない。あまりにも多くの構造的矛盾を抱えているからだ。その最たるものが、信用・共済と経済事業の「総合農協」体制。地方経済よし、米価よしの時代はよかった。減反で少々無理なことを言っても「ま、仕方がないか」と農家も協力してくれた。それが逆モードになれば、減反の協力を要請すれば、農家に反発され、結果として組織の力を弱めることになる。 (以下つづく)