特集 | ||
農業イノベーターの軌跡~そして、あなただからできる挑戦~ | 農業経営者 3月号 | (2008/03/01)
「イノベーションが農場を変える」をテーマに開かれる、『農業経営者』読者の会全国大会。開催直前の今月号の特集では、全国大会でゲストスピーカーを務められる4人の農業経営者と2人の農業周辺企業のトップにご登場いただき、“イノベーター”としての歩みを紹介しようと思う。
彼らと志を同じくする全国の農業経営者たちが集い、語り、その交流の中で自身の経営観を新たにし、夢や希望を抱くきっかけにしていただければ幸いである。
基調講演のテーマもイノベーションだが、農業経営とは結び付かないようなイメージの言葉と思われるかもしれない。しかし、米倉教授いわく「そんなことはない」とか。では、イノベーションとはどういう意味なのか? プレ講演として、イノベーションの本質的意味を米倉教授に聞いた。
技術革新はひとつの意味でしかない
社会経済活動のイノベーションに関する研究をする目的で、一橋大学イノベーション研究センターが設立されました。その少し前に、旧文部省に設立申請をしたところ、こう言われたんです。「『イノベーション』という横文字はわかりにくいのではないか? 『技術革新』としてはどうか?」と、ね。いわゆる高級官僚でさえ、このような誤解をしてしまっていたほどです。
たしかに、一般的にイノベーションという用語は、新しい技術の開発といった意味合いでとらえられていますが、それは大きな間違い。もっと広い概念です。
イノベーションという概念を体系的に説明したのは、オーストラリア出身で米国・ハーバード大学教授を務めた、ヨーゼフ・シュンペーター(1883~1850年)という経済学者です。
かつて経済学界では、競争さえしておけば市場の需要と供給は自然と均衡するという古典派経済学、さらに20世紀初頭に不況になっても政府が公共投資を行なうことで市場は均衡し、不況回復も可能とした、ジョン・メイナード・ケインズ(1883~1946年)が唱えるケインズ経済学が主流でした。
しかし、シュンペーターは均衡は経済活動の本質ではないのでは?と考えました。さらに言えば、経営者が均衡を破壊することで、新しい経済発展や経済循環を作っていっているのではないのか?といったように、経済活動についてきわめてダイナミックな見方をしたのです。(以下つづく)
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