読者の会 | ||
第12回 4月25日『農業経営者』読者の会 定例セミナーのご案内 (2008/03/25)
「直販ビジネスの仕組みづくり〜いかに顧客を惹きつけるか?〜」
【講師/山下一公氏(有)ピーチ専科ヤマシタ社長】
約2万件の顧客を抱える直販、新規就農者の応援プログラム、大手量販店との契約、社債の発行など、確かな実績を残しつつ斬新な手法を発揮する山下一公氏。農業に徹する強烈なプロ意識と、農協に依存することなく顧客ニーズに応えるマーケット戦略を語る。果実生産者だけでなく、すべての農業人に参加して欲しい。
講師プロフィール
1961年山梨県山梨市生まれ。玉川大学農学部を卒業後、半導体メーカーに就職するが、半年後に家業の農園を引き継ぐ。農園の半分を占めていたブドウの木を切り払い、モモ作りに専念。80年代後半からモモの直販を開始。98年に農業生産法人(有)ピーチ専科ヤマシタを設立。
場所: (株)農業技術通信社内セミナー会場
会費:一般参加の方は5,000円、『農業経営者』定期購読者の方は無料になります。
※ 今月号より、年間購読のお申込をいただいた場合も受講料は無料となります。
◇主催者から
●農産物だけではなく、景観や空気にも価値がある
定例セミナー第12弾!
「直販ビジネスの仕組みづくり〜いかに顧客を惹きつけるか?〜」
の講演内容をレポート
【講師】山下一公氏(㈲ピーチ専科ヤマシタ社長)
「価値の創造って言葉があります。農産物は今までモノとしての価値しかなかった。でも、れを作る農業にはそのほかの価値がたくさんあります。そこを自分達が認めて、価値とし磨いて、お金に置き換えていく」
4月25日のセミナーでは、㈲ピーチ専科ヤマシタの山一公社長が直販ビジネスの仕組みづくりを講演を行いました。同社の桃の販売先は現在、約2万件の直販顧客が中心ですが、思わぬ所から声がかかることも多いです。最近ではデパートのギフトや、ネットショップにも出荷しています。「23年前はすべて農協出荷でしたが、大きさ・色・形・出荷時期だけで価格が決まってしまう。作り手としては非常に面白くない。どうしたら味を評価してくれるか考え、試しに2kgの化粧箱を作って販売したら、5kgの共選と同価格で売れた。作り手の喜びはあがったが、今度は農協の役員から叱られた。この経験から自分で売らなくてはだめだと考え、直販を増やしました。これがお客様との繋がりの最初です」
当時、自ら営業する農家は珍しく、直販の顧客は増えました。次の課題は、どうしたら毎年買ってくれるだろうか。毎年安定した美味しいものを届ける技術力は当然として、その先が課題でした。「今年まだ2年目ですが、大好評なのは『桃の木オーナー募集!!』です。1本5万円で売り出し、果実200個を保証します。ただ収穫するだけのオーナー制ではありません。花の時期から始まって、花を摘む、実を摘む、袋をかける、袋をはがす、収穫するという、5つの作業を体験してもらいます。手間隙かけた工程を経るからこそ、喜びがある。自分が作った桃で、より大きな収穫の喜びを提供するのが目的です。5万円は桃200個だけの価値ではなく、富士山を望み甲府盆地を見下ろす景観、美味しい空気の価値です。モノだけではなく、景観や空気といった価値をお金に換えてもいい」
同社のホームページを覗くと、なるほど食通で知られる有名タレントがオーナーになっています。「加工品で桃ジュースも作っていますが、これは万人ウケしない商品です。市販製品のようにサラッとしてない、ドロドロしています。首を傾げる人もいれば、まるで飲むデザートのようだと評価する人もいる。私はそこだと思います。1億2千万人が認めなくても、価値を認めてくれる人に売ればいい。もちろん、商品の価値を自分で説明できないと売れませんけどね」
お客様に笑顔を届ける農産物を生産しよう、というのが同社の理念。山下氏の挑戦はまだまだ続きます。「モノを送るだけでない、第2の産直といったものを、今後もアイディアを出してやっていきたい。そして、ますます魅力的な農場にしあげていく。それがピーチ専科ヤマシタの目標です」