農業経営者コラム | ヒール宮井の憎まれ口通信 | ||
嫌われ上等! | 農業経営者 4月号 | (2008/04/01)
「好かれる」と「儲かる」は「=」しない
本誌昨年12月号とNHK「日本の、これから」の生放送で完全に相手を舐めきった態度に2ちゃんねるを始め、地元のみならず多くの視聴者から反感を買った宮井能雅が嫌われ方の本髄を語ることになった。よろしくお付き合い願いたい。
さて件のNHKの生放送終了後、北海道に帰り、まず愛する奥様から言われた言葉は「バカじゃない?」そして「よく刺されないで帰って来れたわね?」。ん〜ん、愛を感じた瞬間であった。その後、地域の集まりがあり、私は飲まないが酒が入り、本音トークが始まった。
(1)あんたの発言は北海道の転作農家はみんな豊かなイメージを持つ
(2)あんただけ(従兄弟も含む)が儲かれば良いのか?
(3)地元長沼町の恥だ!
(4)地元JAに苦情の電話が来た(2〜3本程度だろう)
(5)あんな放送をするNHKの良識が疑われる。
最後はだからあんたは嫌われる! と来たもんだ。つまらん農協批判はムダと事前に連絡済だが、組合長はなぜかムッとした顔をしていた。
歴史をたどれば、村八分という言葉がある。調べてみると、火事になった時と、葬式の時以外は付き合いをしないという意味だ。逆に取れば火事になった時と、葬式の時はヘルプがあると理解できる。何とすばらしい考え方ではないか。
すべてが否定される社会よりはサバサバした人間的な付き合いができるのである。どちらにしても、儲かる農家になるかどうかは村八分には含まれない。
なぜ嫌われるのか? 心理学的に言うと嫌われることにメリットがあると潜在的意識があり、現実の行動に移すことにより、その正当性が認められた経験がその行動(嫌われ方)を増幅させると自己評価している。私は農業の現場において、話すこと、行動すること、利益を相手に与えること、360HPのコンバイン、160HPの飛行機に乗ることさえ嫌われている。
しかし、なぜそこまで? 私は物心ついた頃から、人とは同じことをやってはいけないと感じていた。「人と同じことをやれ!」とは教育を受けていないせいかもしれない。同じことをやっていれば、同じ結果、つまり同じ収入、同じ環境、自分と同じ程度の子供が生まれ育っていくことは犯罪であるとの認識が、多くの農家にないのが残念だ。同じ考えの親子が存在することはクローン禁止法違反である。1000万円以下の罰金と懲役10年が待っている。
たとえば、好かれる農家の代表としては、農協の青年部を経験して理事、監事をする人がある。土地改良区、共済の役も似たようなものだが、その意志を継いだ息子が彼らと同じ運命になるかどうかは、ご存じのことであろう。これほど親の七光の影響を受けない職業も珍しいのではないか。(以下つづく)
宮井さん、NHKを見ていました。うわ~言っちゃった~。と、思いながら大喜びしていました。私は山形で農業をしていますが、減反が苦しいと思ったことは、一度もありませんでした。畑があるから、創意工夫がでてくるというものではないでしょうか。今後の連載を、楽しみにしています。