編集長コラム | ||
国内向けに語られるニッポン農産物輸出 | 農業経営者 5月号 | (2008/05/01)
ほかにも海外マーケット向け卸、ドバイの国内青果卸、アラブレストラン、スーパーマーケット「スピニーズ」などにも営業してみた。訪問したどこでも食材に対する評価は極めて高く、見積もり依頼を受けた。
ところで、今回の旅行で特に報告しておきたいことがある。
訪問したUAE国内に30数店舗を展開するスーパーであるスピニーズには「日本コーナー」がある。農水省がスーパーの棚を買い、日本産果実や野菜を置いているのだ。農水省ではドバイだけでなく世界の9カ国でこうしたコーナーを設けている。
しかし、日本コーナーの責任者でもある同社チーフバイヤーの言葉には、日本のお役所マーケティングに対する冷笑を感じた。
「棚の代金は既にもらっており、売れた分だけ精算すればよい。だから、掛け率は通常よりかなり高い。品質の高さは理解しているので、ここまで出向いてくるようなあなた方なら、ぜひ本気のビジネスとして提案してほしい」と話していた。さらに、参加者の一人が持ち込んだ小豆に対しても在住日本人向けに面白い商材だと膝を叩いていた。
彼の話を聞きながら、政治家や農水省が語る輸出促進事業とは、政治家と役人たちの日本国内向けの広報活動のように思えてきた。
ビジネスの視点から見るなら、日本コーナーとは、日本の農民や在留日本人がその品質の高さを自己満足するためのもののようにも思えた。高品質を印象付けたい気持ちはわかるが、1個3000円のナシでは、現地の人々に値段の高さだけが印象付けられてしまうのでないか。それはおよそマーケティングとはいえず、逆効果にすらなりかねない。TVや新聞などは海外で日本農産物が高く売れていると報道するが、どの程度売れているのかは伝えられない。
農業団体や農業経営者は、役人任せにせず自分自身で本気の海外マーケティングに取り組むべきだ。そして、日本からの輸出である限り、その事業規模は限定的なものだと思う。Made in Japan ではなく Made by Japaneseで日本の野菜類や果実の海外生産に取り組む時代なのだ。
今後、海外での日本食ブームはますます広がる。気象条件に恵またスペインなどで日本イチゴや野菜類を栽培し、EU各国に販売することなど、それほど困難ではあるまい。マドリードからロンドンまでは空路で一時間程度だ。福岡から東京より近いのだ。ウインブルドンのテニストーナメントで、シャラポワや観客に日本イチゴを食べさせるなんてことも夢ではない。今度は、それをテーマにしたヨーロッパツアーを企画しようと思う。
buy viagra without prescription