従来コシでしか王者復活の道はなし
コメの王者、新潟コシヒカリ。3年前に「コシヒカリBL」(コシBL)なる品種に一斉切り替えしたことはご存知の通り。当初から食味の悪さを指摘してきたが、なんと新潟県の泉田裕彦知事までもが同じことを言い始めてきた。
「従来コシとBLの違いが分かるんです、味」
これにカチンときたのが、コシBL一斉更新を強行した新潟県農林水産部と農協組織。特に前者はコシBL一斉更新強行による失敗の責任追及を恐れ、メディアを通じて知事批判をおっぱじめるなど大醜態をさらけ出している。
発言が飛び出たのは、昨年5月22日に魚沼コシの本拠地、六日町で開かれたタウンミーティング。会場には地域住民が170人も参加。この日のタイトルは「地域の魅力を創る」。パネルディスカッションのパネラーは観光関係の専門家ばかり。農業問題がテーマではなかった。
パネルディスカッションが終わりかけ、議事進行役の県職員が会場の一般参加者に質問を促したところ、塩沢町の生産者・笛木守さんがスクッと立ち上がった。
笛木さんは、有機米や減農薬米などを栽培して直接消費者に販売する「いなほ新潟」の代表者。3年前の一斉更新時から現場を無視した県や農協のやり方に不満を募らせていた。この日は日頃から抱き続けてきたコシBLへの不満なり疑問を直接知事にぶつけられると思いやってきた。
「17年から県はコシヒカリBLを一斉導入した。それで従来コシヒカリをカットしてしまっている。
だけども私たち実際に(従来コシを)栽培し、また消費者の方々とコミュニケーションをとる中で、本当にやっぱり従来コシをくれという要望が非常に強いわけでして、決して私はBLそのものがだめだと思っていませんけれども、せめて生産者がBLか従来コシかを選択できる、その余地を作っていただきたい。今、我々が種もみを用意する場合には、長野県とか、富山県とか、福井からわざわざ取り寄せなければいけない。そこを何とか新潟県でも供給していただきたいというふうにお願いしたい」
温厚な性格の笛木さんらしい、抑制の効いた質問ぶりだった。食味にも触れなかった。それなのに泉田知事は予想外の答弁で応じたのだ。
(以下つづく)