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農業経営者コラム | ヒール宮井の憎まれ口通信

秋播き冬播き左巻き | 農業経営者 10月号 |  (2008/10/01)

【宮井 能雅 -profile
経営者コラム

種を播いたのは誰なんだ?


小学生の時に一番嫌だった農作業の一つに用水路の掃除と両サイドの草刈りがある。

今でもこの仕事は正直やる気が起こらない。なぜならコメを作っていないので「なんでこんなことやらなきゃいけないの?」とは思う。思うのではあるが、地目は水田であり昨年から始まった「農地・水・環境保全向上対策」もあって、一応積極的に参加するふりはしている。今でもそうだが、私が学生だった時も用水掃除や草刈りの連絡は、地区のボスから親へ、そして自分に命令がかかって、イヤイヤやっていた。

昭和の終わり頃、麦の収穫後、麦稈をロールにしていただいた関係から酪農家と牧草の更新後の播種について話が盛り上がった。私は牧草の播種は春に行なうものだと、その時まで思っていた。事実は乾燥して発芽揃いが悪い4〜5月をずらして雨が多くなる秋麦と同じ8月下旬以降に播種作業を行なうと聞いた。

その時、私の未だ活性化されていなかった睡眠中の大脳の一部に電灯マークがついた! 普通であれば春小麦は雪がなくなる4月上旬に播種作業が行われるのが普通だ。もしそれを前年に播種したら収穫が増えるのではないか……?

春小麦の需要は当時からとても高かった(現在では秋小麦の2倍以上の価格で流通している)。ただ一番の問題である収量が極端な場合、秋小麦の半分にしかならない。そこで生育期間を長くして成長を促そうと考えた。

完璧に大脳が成長しきれていなかったので、専門家に相談することにした。

私は当時から地元にある道立農業試験場には出入りしていたものの、そこにいるセンセーたちは理論武装については素晴らしいのだが現場のことには「?」が付き、今いち敷居が高く、波長が合わない人たちだったので、どうしようか迷っていた。

ちょうどその時、農業試験場の隣に民間の北海道グリーンバイオ研究所ができて、当時の影浦開発部長(のちに副所長)とお会いする機会ができた。

影浦部長は農業の現場のことを良く理解されていて、春小麦の前年播種にとても興味を持っていただいた。

さすが研究者だけあって、ただ秋に播種するのでは意味がないので、9月、10月、11月の3パターンの播種に分けてそれぞれ3年間試験した。その結果9月、10月に播種した場合、播種年の生育は秋小麦並みの見栄えになるが、越冬した春には50%の確率で物理的に消えてなくなることが分かった。原因は秋小麦の様に雪腐れの抵抗性がないと言うことらしい。

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者10月号で
Posted by 編集部 12:28

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