提言 | 視点 | ||
ソフトパワーたりえる日本の農産物 | 農業経営者 11月号 | (2008/11/01)
日本が世界の中で冠たる地位を確保できたのは、ソフトパワーで勝負してきたからである。トヨタやソニーなどのメーカーが海外進出したことで、「日本人はいいものを作る」という良い印象が浸透していったが、日本の農産物、そして日本農業それ自体もソフトパワーとして活用すべきものである。
リーマン社の破綻に学ぶ
先日米国では大手証券会社、リーマン・ブラザーズが経営破綻した。しかし今年3月、同様に破綻したベアー・スターンズは、米連邦準備理事会が公的資金を注入し、大手銀行に吸収合併させる形で救済した。どうして米国政府が、リーマン社より規模が小さいベアー社に手を差し伸べたかというと、主だった特徴のないリーマン社と異なり、独自の金融商品を開発・運用してきたからである。
翻って日本の農業もベアー社同様に、独自性を前面に打ち出した戦略が求められよう。バラエティーに富んだ農産物を作り、さらに品質と安全性を担保すれば、世界から重宝されていくに違いない。
米国のハリウッド・スター、あるいはアラブの王族が特定の日本食材を好んで食べてくれるようになったら、それだけでブランド力が上がって、価格が高くても売れるようになる。日本の若い女性が高級ブランド品を買う感覚で、海外のセレブが日本の高級食材に憧れる時代が来るかもしれない。
海洋国家の農耕民族
先のWTO交渉では日本農業を「守る」という意図で、重要品目を通じて農業保護の“仕組み”を維持しようとしていた。だが、仕組みを維持しようすればするほど、外的な変化に適応しにくくなる。言い換えれば、「守ろう」とした時点で、守れなくなるジレンマに容易に陥るのである。しかも、「守ろう」したものは、今までのやり方なのではないのか。
日本農業を存続させるならば、農産物を買ってくれる国内外の消費者の都合に合わせて尽くす、その姿勢こそが問われるように思う。
今後、日本経済が急激に成長する予兆はない。だが、思い起こしてほしい。農耕民族ながらも海に囲まれた島国に住む日本人は、積極的に海外に出向き、他国と協調し貿易で国を立ててきた歴史があることを。世界的な食料高騰による内外価格差が縮まった現在は、外に出向く絶好の機会となった。
だから私は、この国とこの国の農業の行く末を、悲観していないのである。
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