大規模輪作営農のための乾田直播技術 | ||
乾田直播の土壌物理性と易耕性
乾田直播による輪作体系を目指して | 農業経営者 2月号 | (2009/02/01)
乾田化が進んだ盛川農場の乾田直播圃場
「圃場の乾田化を進めたことで、これまで畑作にのみ使用していたジョンディアのトラクタ(90PS)を水田に入れられるようになり、畑作との共用ができるようになった。これが今年の大きな成果である」 これは、今年の実証試験の反省会で、盛川氏が会議の最後を締めくくった言葉である。乾田直播を導入するためには、圃場作りによる乾田化が重要であるが、逆に乾田直播が導入できれば乾田化も進む。 写真1は、稲刈り後に3日間の合計雨量が46mmあった雨上がり直後の様子である。移植圃場では、特にコンバインのクローラの轍に滞水しているが、乾田直播圃場では滞水が見られない。盛川農場で乾田直播を実施した5枚のすべての圃場は排水性が改善され、収穫時のコンバインによるクローラの轍が皆無であったことは、前回の報告で述べた通りである。 今回の報告では、乾田直播の特徴である無代かき栽培が土壌におよぼす影響をデータで解説し、次いで、水田の高度利用に向けた将来の方向について私見を述べたい。
無代かき栽培が土壌におよぼす影響
4年間にわたって乾田直播を実施した圃場(無代かき区)と、代かきしてイネを栽培した圃場(代かき区)の土壌の諸特性を紹介する。ここで示すデータは、筆者が北海道農業試験場(現北海道農業研究センター・札幌市羊ヶ丘)の圃場で1994年に実施した試験結果であり、土壌タイプは盛川農場と同じ多湿黒ボク土である。
(以下つづく)
1961年山口県生まれ。岡山大学農学部を卒業後、農林水産省に入省。北海道農業試験場で『草地飼料作および水稲作の機械化に関する研究』、農業研究センターで『水稲の低コスト栽培および乾燥調製に関する研究』に従事。1997年岡山大学より学位授与(農学博士)され、1998年に『無代かき直播栽培に関する研究』で農業機械学会技術奨励賞受賞。その後、農林水産省大臣官房で技術調整に関する業務に従事し、2003年に東北農業研究センターに異動。東北水田輪作研究チーム 上席研究員。著書に『北の国の直播』(共著)がある。
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