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コンバイン収穫作業実演と水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会のご案内 (2013/10/24)
2013年10月30日(水) 13:00〜17:00
[水田農業イノベーション]
秋田県大潟村の宮川正和氏圃場及び秋田県農業研修センター
先に岩手県花巻市の盛川農場での開催をご案内しておりました水田転作田での子実トウモロコシのコンバイン収穫作業実演と子実トウモロコシ生産に関する検討会は台風のために中止とさせていただきましたが、改めて10月30日午後1時より、秋田県大潟村の㈱正八(宮川正和社長)の水田で行うことになりました。水田経営者、畜産・酪農経営者および関係機関の皆様のご参加をお呼びかけいたします。
宮川氏の圃場でのトウモロコシ播種は、播種時期が遅くなったために、収量的には想定より少ないことが予想されます。それでも、宮川氏の圃場でのコンバインによるトウモロコシ収穫作業は盛川農場に次いで府県では史上二例目の記念すべき実演です。今回の検討会では、北海道長沼町で先んじて水田転作地での子実トウモロコシ生産に取り組んでいる柳原孝二氏((有)柳原農場)、花巻市で取り組んだ盛川周祐氏 ((有)盛川農場)、宮川氏のトウモロコシの需要者となる予定の大塚智哉氏((有)秋田高原フード)や飼料メーカーにもご参加いただくことになっております。
圃場では、コーンヘッダを装備していない麦・大豆仕様のニューホランド社製コンバイン(NH TC5070)による収穫作業の実演をご覧いただきます。さらに会場を秋田県農業研修センター(大潟村東1丁目)に移して検討会を行います。
検討会では、水田転作地での子実トウモロコシ生産の技術的課題とともに、水田経営者が子実トウモロコシ生産に取り組むための経営課題、さらには水田農業経営の中に子実トウモロコシを含む飼料穀物生産導入の課題、及び物流コスト最小化のために地域飼料需給実現に向けて必要な政策的対応、あるいは関連業界による技術開発などに関しても話題にしてまいります。
現在、我が国では穀物トウモロコシを100%海外に依存しており、その内、飼料としての需要量は約1,000万トンです。それは油脂類や他の飼料穀物の輸入とともに我が国の食料自給率を低下させている大きな要因です。アジア・アフリカ諸国の経済成長に伴い、今後、世界的な穀物需給の中でもっとも逼迫の可能性のある作物がトウモロコシです。そのトウモロコシを国内それも地域で物流コストをかけずに需給を実現する。それが今回の取り組みのテーマです。
そして穀物としてのトウモロコシ生産を取り込むことでの水田経営のイノベーションを実現し、ひいてはコメ生産のコストダウンをはかる。同時に、畜産・酪農家にとっては海外の作況や為替変動による飼料価格高騰による経営不安を防ぎ、あわせて食料自給率向上に結びつけていくことはできないでしょうか。
1960年代中頃以来、我が国での穀物としてのトウモロコシ生産は実質的にゼロです。その結果、我が国の畜産・酪農は輸入穀物に依存した加工業という性格になっています。安い飼料穀物が潤沢に入ってくる時代はともかく、昨年のような海外産地での不作や為替の変動があると我が国の酪農・畜産経営は大きな経営的打撃を被ります。
しかし、我が国の農業界には穀物トウモロコシを国内生産するという発想がありませんでした。ところが、これまでに取り組んだ実績でも温度条件の低い北海道の中で比較的条件に恵まれた地域であれば反収800kgの収穫が可能であり、府県で品種選択や施肥、播種時期、栽植密度などの技術が確立されていけば、海外のように1トンどころか1.5〜1.8トンといった反収水準も可能になるかもしれません。さらに北海道でもフランスなどで広く使われているマルチングプランタを使えば反収1トンも現実的な目標になります。仮に反収1トンで現在の減反面積に相当する100万haに子実トウモロコシを作付できれば、国内の飼料総需要、約1,000万トンの国内自給も可能になります。水田とは言わずとも耕作放棄された草地や畑は幾らでもあるわけですから。
一方、現在の米消費量は約700万トン。それはやがて600万トン、500万トンと減っていく可能性があります。その時、有り余る農地に何を作るのですか?作って過剰にならない作物は飼料用のトウモロコシを除いて何があるでしょうか。しかも、その生産は畜産・酪農家が購入可能な価格で供給でき、国民が納得できる政策的支援のレベルで実現するものでなければなりません。
乾田直播による水稲生産のコストダウンに取り組み、転作大豆に高能率な播種機を使用する経営者であれば、同じ技術体系でトウモロコシ生産が可能です。そして、トウモロコシは麦や大豆などと比べてはるかに資材費や労働費が少なくても生産が可能なことから、投下貸本あるいは投下労働力当たりの収益で言えば、麦や大豆より収益が上がる可能性があります。手間がかからなければ規模拡大も容易です。現段階では水田飼料作向けの交付金3万5,000円があります。さらに、反収の向上を目指し、物流費をかけずに地域の畜産・酪農家への供給が実現すれば、輸入トウモロコシと経済的にもひけを取らないレベルで国内・地域自給できる可能性があります。
現段階で各地の飼料工場に入るトウモロコシのkg当たり単価は30数円です。これに飼料工場での加工賃と国内物流コストと流通マージンがかかります。これは昨年のトウモロコシ高騰を反映した価格です。実際の畜産・酪農家が購入する配合飼料価格は60円台、70円台にまで達しています。それなら現段階の生産レベルでも現実性が出てきています。少なくとも、現在の10a当り8万円あるいは9万3,000円というような交付金を付けて行われ、しかもトウモロコシより飼料価値の低い飼料米やWCSの生産と比べれば、財政負担も少なく、国民に理解の得られる水田農業による飼料供給の姿が実現します。それに、国内生産されるトウモロコシは100%nonGMOのトウモロコシであり、消費者ニーズにも応えるものです。
この取り組みが一般化するためには、地域単位の飼料工場の設置や国産普通型(汎用)コンバインにトウモロコシ収穫への適応性を持たせる改良も必要です。また、個々の経営者によるチャレンジだけではなく、政策的な支援も必要です。
現在、子実トウモロコシ生産に取り組む農業経営者は全国でも10人もおらず、面積も全国でせいぜい20ha程度です。しかし、この取り組みはきっと日本農業を変革することにつながるでしょう。一人でも多くの水田経営者、畜産・酪農家、農業機械や飼料その他のメーカー関係者、行政や農協あるいは試験研究機関やメディアの方々のご参加をお待ちいたしております。
[開催概要]
コンバイン収穫作業実演と水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会
開催日時:10月30日(水) 13:00〜17:00
実演会場:秋田県大潟村の宮川正和氏圃場
検討会場:秋田県農業研修センター
(秋田県南秋田郡大潟村東1丁目1 電話:0185-45-3111)
集合場所:秋田県農業研修センター前
参 加 費:3,000円(検討会場で資料代として承ります)
主催:『農業経営者』読者の会・㈱農業技術通信社
現地では主催者がマイクロバスの用意を致しますが、圃場との移動には自家用車で ご参加の皆様にご協力をお願い致します。
宿泊希望の方は、大潟村内にあるホテル・サンルーラル大潟に直接予約をお願い致します。
サンルーラル大潟:大潟村北1−3 電話:0185-45-3311
[参加費]
・参加費+資料代:3,000円(当日検討会場で承ります。)
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