【グローバルピッグファーム(株) 代表取締役社長 赤地勝美氏(群馬県渋川市)】
良質な豚肉として消費者にも広く知られる銘柄豚「和豚もちぶた」を生産するグローバルピッグファーム(株)。その主体は、グループに所属する全国各地の家族経営農場だ。輸入豚肉が浸透する中にあって着実に成長を続ける同社には、家族経営の農家が生き残るための仕組みと戦略、世界を見据えたビジョンがあった。
家族経営農場を束ねて儲かる養豚業を確立
家族経営農場をベースに儲かる農業を確立した養豚集団がある。グローバルピッグファーム㈱(以下、GPF)は、大規模農場化で国際競争を生き残ろうとする養豚業界の流れの中で、小農主義の持つ「結いの精神」に加え、「法人化」「サイエンス」「競争原理」の3要素をグループ運営に持ち込み、家族経営であることをむしろ強みに転化し、離農・倒産トレンドが支配する養豚業界で発展してきた。
日本の養豚業は、農家数の激減過程にあり、1970年には45万戸もあったが、80年14万戸、90年4万戸と減少し、現在は9000戸である。また、国際競争力が無いため、輸入品が浸透し、豚肉の国内自給率は50%を切っている。農家戸数の減少は今後も続き、近い将来、5000戸になるという見方も多い。
こうした激しい競争下でもGPFは一戸の倒産離脱もなく、出荷頭数は83年設立時の年間3万3000頭から、90年18万頭、2000年32万頭と拡大し、現在は41万頭に達した。メンバー農場はすべて黒字経営。母豚270頭規模で標準3700万円の所得を確保している。
(以下つづく)