【政策研究大学院大学教授規制改革・民間開放推進会議専門委員 福井秀夫】
規制改革の遅れた産業分野として、医療・福祉、教育、農業が挙げられる。中でも農業は群を抜いている。消費者や意欲ある農業者の眼から見ると、自由で公正な競争を阻害する要素がかなり多いが、それについての議論さえタブーとされる。まさにアンシャン・レジーム(旧体制)といった感がある。
気概なき農水官僚たち
農水省の良識派には、農政の目的が農家の所得保証や、補助金や土地利権にすがる「自称農家」の延命でないことはわかっている。だからテーマと時機により「改革」と言ってみたりもするが、利害当事者が騒ぐと、その旗をすぐ降ろす。真の雇用者たる国民を意識した独立心や組織的気概が不十分だ。