よほどのハプニングでも起きない限り、解散総選挙は来年に遠のいたと見るべきだろう。そうだとしたら20年産米価も見えてくる。もし20年産も過剰となれば米価暴落は避けられない。そうなれば選挙を強く意識した政府が、今シーズンも緊急対策「第2弾」なるものを放ち米価を吊り上げようとしてくるだろう。これに対しマーケットは「対策の年に買いなし」とばかりに買い控えで応戦。さらなる米価下落、政府米買い入れ、減反強化という「負のスパイラル」が再び頭をもたげてくる。
今シーズン最大の見所は40年近く続いた現行減反政策の行方である。20年産も過剰となった場合、政府与党が500億円も投じた減反緊急対策は大失敗だったことが証明される。世論の厳しい批判は避けられない。当然、現行減反政策に代わる新たな生産調整方式も検討課題として急浮上し、コメ行政の総決算にも等しいシンボリックな出来事になる。一問一答形式で説明しよう。
見せられた衛星写真に「参った!」の声
質問 コメ行政の総決算という意味をもう少し詳しく説明して下さい。
土門 「売る自由」は新食糧法(94年)とその大幅改正(04年)で完全に実現した。ところが「作る自由」は70年代からの減反制度を引きずったままである。車に喩えれば、右足でアクセルを踏みながら、左足でブレーキをかけているような状態になっている。これでは走行していてもスピンするだけである。米政策改革大綱は、スムーズな走行を実現するため「作る自由」の実現を約束していたのである。それも「22年産から」というロードマップ(工程表)も用意していた(以下つづく)