責任をもって売るために第三者認証としてのJGAPに注目
茨城県に次いで全国2位のマッシュルーム生産量を誇る千葉県で、23年間に渡ってマッシュルームを栽培している(有)渡辺マッシュルームハウス。マッシュルーム生産者として初めてJGAP認証を取得した同社の代表、渡辺俊之氏に、取得に至るまでの経緯や、JGAP認証を経営の中でどう位置づけているかについて聞いた。
農場の経営概要を教えてください
千葉県の東総地域では、50年ほど前からマッシュルームの栽培が盛んに行なわれてきました。菌床の主原料である稲ワラを、近くのJRA美浦トレーニングセンターから大量調達できることから、産地として拡大してきたのです。
私は1985年からマッシュルームの栽培を始め、現在は60aの施設で年間120tを生産しています(売上高約1億円)。このうち70%は水郷マッシュルーム組合という出荷組合を通し、卸売市場に出しています。残りの30%は個選で、直販のほか、(有)うなかみグリーンパーティという販売会社を通して、外食や加工などの業務筋に出荷しています。昔は作ることばかりに専念していましたが、価格低迷もあって販売が大事だと思うようになり、友人とともに作った会社です。卸売市場一辺倒ではなく、マーケットにどう対応していくかを考えています。
JGAP認証取得の動機を教えてください
同じ千葉県旭市内で、JGAP指導員の資格を持つサングリーン協同組合の知人から、GAPの話を聞いたのがきっかけです。マッシュルームは温度、湿度、酸素などを徹底管理しながら栽培するため、記録をつける習慣が昔からありました。そのため知人から「渡辺さんだったらすぐに取れますよ」と言われ、興味が沸いたのです。調べてみると、JGAPやイオンのGAPなどいろいろあること、マッシュルーム農家ではまだ誰もGAPをとった人がいないことがわかり、「それなら自分が第1号になろう」と決意しました。
準備にあたっては、サングリーン協同組合の知人と、近くにある「農家の店しんしん」のJGAP指導員のアドバイスを受けました。
(以下つづく)
世界70カ国の約5万農場が認証を取得するまで成長したユーレップGAP。農場管理における事実上の世界スタンダードになっている。我が国では日本版GAP(JGAP)の普及が始まったばかり。本誌では、農場の経営管理手法そして国際競争に生き残るための規範として、GAPに注目。世界の動き、日本での進展を毎月報告する。レポートはジャーナリストの青山浩子氏。 -
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