前回(本誌153号)で紹介した生協版GAP(青果物品質保証システム)を実践している生協のひとつが、コープネット事業連合だ。生協版GAPはほかのGAPと異なり、産地の取り組みを生協のバイヤーが点検するという二者認証を実践している。また、農業規範のみならず、流通規範による点検を進めている。第一商品部農産担当次長・佐藤和男氏に現状と課題を聞いた。
生協版GAPの進捗状況を教えてください
私たちが取引している産地のなかでも、生協版GAPに取り組んでいるのは「産直産地」といわれるところです。産直産地とは、アイテム、品種、栽培、流通方法などに関し、事前に確認した上で取引をする産地のこと。全国に約430ある産直産地のうち、100産地が生協版GAPを導入しています。
実は15年ほど前から「産地点検」というものを実施してきました。考え方はGAPと同じで、圃場での農薬使用や衛生管理についてルールを決め、守ろうというもの。「産地点検基準表」を作り、すべての産地で取り組んでもらい、私たちが毎年点検に回ります。
生協版GAPは私たちとの取引が長く、トップブランドといわれる産地に呼びかけて取り組んでもらうことにしました。今後3〜5年のうちに、すべての産直産地で生協版GAPを実施してもらう計画です。
生協版GAPと、ほかのGAPの違いは?
産地と私たち生協が対等の立場だということが大前提です。GAPは点検をする側と受ける側という上下の関係になりがちですが、安全や品質を確保していくためには、作る側と生協の組合員に供給する側が対等な立場に立った上で、それぞれの責任を果たしていくための“パートナーの関係”を基本に据えています。
また、生協には生産されたものが組合員に届くまでの一気通貫の仕組みがあるので、農業規範だけでなく、流通規範まで網羅している点が特徴です。
(以下つづく)
世界70カ国の約5万農場が認証を取得するまで成長したユーレップGAP。農場管理における事実上の世界スタンダードになっている。我が国では日本版GAP(JGAP)の普及が始まったばかり。本誌では、農場の経営管理手法そして国際競争に生き残るための規範として、GAPに注目。世界の動き、日本での進展を毎月報告する。レポートはジャーナリストの青山浩子氏。 -
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