産直取引をめぐって産地偽装、無登録農薬問題などに直面した生協が、問題解決のツールとしてGAPを導入している。生協版GAPは生産のみならず、流通・販売規範までカバーしようとしている点が特徴だ。独自GAPの策定、導入支援を行なっている日本生活協同組合連合会の壽原克周氏に、GAP導入の背景、現状について聞いた。
生協版GAPが生まれたきっかけは?
2002年前後から産直事業における産地偽装、無登録農薬の問題が表面化し、一部の生協はこれらの問題に関与していました。しかし世の中から見れば、一部であろうと全体であろうと生協には変わりありません。そのため、産直をめぐる問題に対し、生協が一体となって取り組めないかという声が大きくなったのです。
2000年に「産直3原則から生協産直基準へ」と称し、産直への思いを大事にしながら科学的、客観的な裏付けをしっかりととろうという方針を打ち出しました。これを具現化するためのひとつの手段としてGAPに着目したのです。
どのようにしてGAPの策定、確立に取り組んだのですか?
ユーレップGAPをたたき台にして、03年から生協版GAPの策定を始めました。中心となって作業にあたったのは、12の会員生協・事業連合で構成する「産直事業委員会」の担当者、そのパートナーであるJAの生産部会や産直団体の事務局担当者たちです。こうして04年にできあがったものが、生協版GAPといわれる「青果物品質保証システム」です。各生協で実証実験を繰り返し、4年目を迎えています。
(以下つづく)
世界70カ国の約5万農場が認証を取得するまで成長したユーレップGAP。農場管理における事実上の世界スタンダードになっている。我が国では日本版GAP(JGAP)の普及が始まったばかり。本誌では、農場の経営管理手法そして国際競争に生き残るための規範として、GAPに注目。世界の動き、日本での進展を毎月報告する。レポートはジャーナリストの青山浩子氏。 -
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