【アイアグリ(株)代表取締役社長 玉造和男(茨城県土浦市)】
農業資材販売店「農家の店しんしん」を経営するアイアグリ㈱は、兼業農家のニーズに的確に応えることで、この分野でのシェアを拡大してきた。しかし近年、兼業農家が減少するなど、時代の変化に伴って新たな取り組みにも着手している。全農がスリム化を目指す今、時代がアイアグリに求める新たな姿が見えてきた。
農業資材の流通改革を通して農業改革
農協独占を打破して、85億円企業に成長したイノベーターがいる。農業資材販売の「農家の店しんしん」を経営するアイアグリ(株)(玉造和男社長)は、農協の独壇場であった農業資材販売の分野にディスカウント作戦で新規参入し、農協独占に風穴を開けた。
「系統利用」(全農―県経済連―農協を通した資材購入)という閉鎖的な資材流通の下で、日本の農業資材の価格は国際的にみて著しく割高になっている。これが日本農業の国際競争力を低下させている一因である。「農家の店しんしん」は流通改革を通して、農業改革に貢献しているといえよう。
ただし、当初は「価格破壊型」であったが、今は農家・産地に密着したサービスを売り物にシェアを伸ばしている。フルタイム、フルライン、……同社の顧客サービスは「フル」の文字が並ぶ。フルラインで在庫を保有し、農家のニーズに即座に対応している。営業も365日年中無休である。つまり、農家はいつでも、欲しいものが欲しいときに入手できる、というサービス体制である。肥料は一般品だけでなく、指定配合で作型、作目に合わせた肥料設計を実施して供給している。農協やホームセンターとの決定的な違いである。
(以下つづく)