5月30日、日本GAP協会の第2回通常総会が、東京都内で開かれた。定款の一部変更、理事および監事承認など6つの議案が審議された。GAPの将来を左右するともいえる重要な議題をめぐって激しい議論が展開され、さらに審議を尽くすため、議決持ち越しとなった。総会は6月下旬に改めて開催される予定だ。
定款の一部変更と理事の承認が争点に
日本GAP協会は、204名の生産者会員および小売、食品メーカーなど35の企業・団体で構成され、認証農場数は236(いずれも2008年3月時点)。
今回の総会はまず、第2期の事業報告および監査役による監査結果報告、第3期の事業計画について執行部より発表があった。引き続き、議案をめぐって審議が始まった。
最大の争点となったのは、定款の一部変更(第1号議案)と、理事および監事承認(第2号議案)に関する議案だった。
日本GAP協会は、農業生産者が主体となって設立されたもので、現行定款では「理事の過半数は農業生産を行なう個人、法人若しくは生産者団体の関係者から選ばれなければならない」(第14条2項)としている。
今回の総会では、同条同項を「理事のうち1/3以上の数は、農業生産を行なう個人、法人若しくは生産者団体の関係者から選ばれなければならない。同時に、農産物の買い手(小売、中食、外食、食品メーカー、若しくは関連団体の関係者)の理事数と同数とする」に変更したいという議案が執行部から提案された。また、この提案を受けて、新たな理事の候補者として20名が発表された。
執行部は変更の理由について、「これまでJGAPは生産者主導で運営していたが、農産物の買い手との信頼関係を構築していくにあたって、買い手側の意見も取り入れ、生産者と買い手が対等な立場で農場管理のあり方を話し合い、確立していくため」と説明した。
これに対し、参加した会員から理事の数およびその構成比をめぐって再検討を求めたいという意見が出された。片山りんご1の山野豊取締役は、「大所帯では意思決定のスピードが遅すぎるし、協会の運営コストの増大につながる」といった懸念を示し、「GAPの根幹にかかわる問題であり、日を改めて議論を尽くした上で採決をとるべきだ」と動議を提出した。
理事の構成比に対し、ほかの会員からは、「農業現場は高齢化、担い手不足により小規模化の方向にある。一方で、理事候補者に挙げられている大手量販店は量(ロット)を求めてくる。GAPの目的は農業経営を改善することだと認識しているが、利害が対立する流通業者が参入してくることで、農業経営はむしろ後退してしまうのでは」「(過半だった数を1/3に減らすと)経済的に弱い立場にある農業者の権利が保護されない」という意見が出された。
(以下つづく)
世界70カ国の約5万農場が認証を取得するまで成長したユーレップGAP。農場管理における事実上の世界スタンダードになっている。我が国では日本版GAP(JGAP)の普及が始まったばかり。本誌では、農場の経営管理手法そして国際競争に生き残るための規範として、GAPに注目。世界の動き、日本での進展を毎月報告する。レポートはジャーナリストの青山浩子氏。 -
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