農事組合法人多古町旬の味産直センター(千葉県多古町)では、約160戸の組合員全員が生協版GAP「青果物品質保証システム」を導入している。工程管理を綿密に行ない、農産物の販売計画とも連動させることで、確実な生産管理、安定出荷を可能にするなどの相乗効果をあげている。同センターで生産管理・販売を担当する鎌形芳文課長に話を聞いた。
青果物品質保証システムを導入したきっかけは?
日本生活協同組合連合会(日生協)が、2003年から生協版GAP「青果物品質保証システム」づくりをスタートさせました。その際、中心になって作業にあたったのが、12の会員生協・事業連合で構成する「産直事業小委員会」の担当者、JAの生産部会や産直団体です。私どももこれに参加しており、青果物品質保証システムを早く生産者に浸透させる必要を感じました。同システムは流通・販売までカバーすることから、トータルで食の安全安心に取り組めるため、04年頃から産地として導入を始めました。
産地としての立場から、システムの内容に難しさや抵抗を感じることはありませんでしたか?
システムが求めているのはリスクをどれだけ減らせるかということ。リスク管理を怠ったためにトラブルが生じ、商品回収や謝罪という事態になれば、そのためのコストが発生します。その意味ではコスト削減のためのいい手法ではないかと思いました。
私どもは生協との取引が長く、以前から生産履歴の記帳や衛生管理などに取り組んできました。また、コープネット事業連合と圃場での農薬使用や衛生管理に関するルールを決め、「産地点検基準表」に基づいて実施状況を点検してきました。こうしたベースがありましたので、導入しやすかった印象があります。
品質保証システムには「生産者・農家編」と「生産者団体・JA編」の2種類があるので、組合員には「生産者・農家編」を、私たちセンターは「生産者団体・JA編」の導入を始めました。
(以下つづく)
世界70カ国の約5万農場が認証を取得するまで成長したユーレップGAP。農場管理における事実上の世界スタンダードになっている。我が国では日本版GAP(JGAP)の普及が始まったばかり。本誌では、農場の経営管理手法そして国際競争に生き残るための規範として、GAPに注目。世界の動き、日本での進展を毎月報告する。レポートはジャーナリストの青山浩子氏。 -
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