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農業経営者取材 | スーパー読者の経営力が選ぶ あの商品この技術

茨城県古河市 荒川一幸氏が選んだ商品 | 農業経営者 3月号 |  (2008/03/01)

スーパー読者

品質で顧客の心をつかみ、おもしろおかしい農業を



都市近郊型農業を実践する荒川一幸氏は、経営委譲をきっかけに直売へ着手する。折しもパソコンの普及時期と重なり、ネット販売を通じて顧客層の拡大も図られた。とはいえ、荒川氏は販路や販売量の増大にも足元を見失わない。品質に重点を置いたその経営手法は、状況がいかに変化しようとも最後まで貫いた。
【経営データ】
■ 面積/水稲6.4ha。畑作20ha(ソバ20ha、大麦12ha、ジャガイモ8ha)。ソバは、熱海や兵庫、宇都宮などにあるそば屋と直接契約。ジャガイモは、カルビーポテトとの契約栽培。
■労務構成/夫婦とアルバイト2名。ジャガイモの収穫時期にはパートを6名。
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Posted by 編集部 | 12:29 | この記事のURL | コメント(401) | トラックバック(0)
農業経営者取材 | 新・農業経営者ルポ

第44回 危機を救ってくれたのは家族とお客様だけだった | 農業経営者 2月号 | (2008/02/01)

【(有)農作業互助会 代表取締役 鈴木博之(福島県大玉村)】
経営者ルポ 1950年、福島県生まれ。1976年、機械の共同利用と作業請負をする任意団体を設立。1984年に(有)農作業互助会を法人化する。1988年に債務清算のため、資産が競売に掛けられそうになるが、農協を訴え、裁判所の和解勧告を得て危機を脱する。以後、コメの生産、集荷、小売事業で経営を再建。現在、低タンパク機能性米の商品開発を軸に、コメの付加価値化販売を図っている。コメの生産面積は自作地・借地含め約13ha。このほか約30haの作業請負を行なう。

経営破綻を乗り越えて



今から20年前の1988年、鈴木博之(57歳)は破産に陥る危機を経験している。76年に鈴木が中心となって組織した農業機械の共同利用と作業請負を目的とする任意団体「大山北部地区農作業互助会」が行き詰まった結果である。組織の機械導入のために、鈴木家の資産が担保になっていたのだ。その清算のための借金返済は、今も続いている。

任意団体の破綻に先立つ84年、鈴木は2農作業互助会を設立していた。鈴木博之・せつ子夫妻、そして川越尚治・志保子夫妻と二夫婦四人の法人である。現在は約13haでのコメ生産と販売、約30haの収穫調整を中心とした作業請負を行なっている。さらに07年12月には、2600万円を投資し、LGCソフトを原料米とする加工場と店舗を兼ねた団子屋を開店した。その加工場の責任者として、もう一夫婦を加えた三夫婦六人の経営に発展させようとしている。

任意団体の経営破綻。競売、裁判、和解勧告、そして経営再建への道のり。冷え切った村内での人間関係。その中で深まっていく家族の絆や、顧客や異業種の人々の支援……。

村社会、農協との軋轢の中での経営危機は、地域や親族を含む人間関係に悩むことでもあった。だが、そんな困難を経験すればこそ、鈴木は農民から本物の事業経営者に成長できたのだともいえる。

農協を訴える



農業高校を卒業して数年、鈴木は運送会社に勤めていた。しかし会社勤めを始めた父に代わり、23歳で農業を始めることになった。34年前のことだ。当時は3haの水田があれば、十分な収入になった。母と二人での稲作であり、田植えや収穫に人手を頼めば、持ち出しも大きくなっていった。若い鈴木はより発展的な農業をしたいと考えた。

機械化が飛躍的に進む時代だった。鈴木も機械化による省力を進めるとともに、作業請負の新事業に取り組みたいと考えた。

農協の勧めもあって、鈴木が農業機械の共同利用と作業請負を目的とする組織を作ったのは、76年のことだ。五戸の農家との共同事業だった。作業を受託する推進(営業)活動は、農協が担当することになっていた。コメの出荷も当然のことように農協だけだった。

しかし、やはり農協の勧めで組織された二つの受託集団との競合で、鈴木らの組織は経営が行き詰まることになる。鈴木ら以外の組織に仕事が流れ、鈴木の組織には仕事が回ってこないのだ。

「恨み言のように聞こえるかもしれないけど、ほかのグループの方が有力者との人脈が深く、農協の後押しが強かったのかもしれないですね。でも、今になって考えてみれば、他人に営業を任せて自分は仕事が来るのを待っているなんて、経営じゃないですよね」と鈴木は笑う。

売上が上がらない、人件費がかさむ、採算が取れない、返済ができない……。追加の融資、そしてその返済も滞り、借金はどんどん膨らんでいった。参加していたほかの農家は、農業をやめるといって組織を離れていった。残ったのは、鈴木と川越の二家族だけになった。

農協は組織の清算を要求し、担保設定されていた鈴木の家屋などを競売にかけると言ってきた。鈴木の親族や近隣の人々を含めて、落札予定者まで裏で話がついていた。その話を聞いて、鈴木は人生観が変わってしまうほどのショックを受けた。首をくくる者がいれば、その縄をなう人間もいるのが世の中なのだと、つくづく思い知らされた。

寝ても覚めても考えることは借金のことばかり。鈴木は当時を振りながら、今、困難の中にいる農業経営者に向けて伝えたいと言う。

「行き詰まった農家は、きっと農協の生命共済のことが頭にあると思う。自分もそうでした。農協とのかかわりが深ければ、5000〜6000万円くらいは共済がかかっているはず。自分もそれを考えながら、高速道路のガードレールに飛び込む夢を見ました。でも、その人なりの解決策は必ずあるんです。死を選ぶなんて、絶対すべきではありません。すべてが後ろ向きにしか物を考えられない時に、情緒的に振舞うことほどの不幸はありませんから。だから第一に、一人で悩まず、まず妻に、そして家族に現状を包み隠さず話すことが大事だと思います」

(以下つづく)
※記事全文は農業経営者02月号で
Posted by 編集部 | 12:30 | この記事のURL | コメント(254) | トラックバック(0)
農業経営者取材 | 叶芳和が尋ねる「新世代の挑戦」

消費者の情報を生産者に伝え進化を共有するために協働する | 農業経営者 2月号 |  (2008/02/01)

【評論家 叶芳和 -profile
【カルビー(株) (東京都)】
製品開発力で加工用ジャガイモの需要を創り出し、産地を元気にしているカルビー(株)。 消費者の情報を生産者にフィードバックする仕組みを作り、全農システムに代わる市場型の新しい農業インフラを整備、国産ジャガイモを成長産業の軌道に乗せようと取り組んでいる。 農家と協働して21世紀の日本農業を創ろうとする姿勢は、企業の農業参入のお手本だ。

カルビーの北海道拠点は先進国型農業の小宇宙



カルビー(株)はポテトチップスに加え、「じゃがりこ」、「じゃがポックル」「ジャガビー」と新製品が続き、この製品開発力で付加価値の高い加工用ジャガイモの需要を創出し、産地を元気にしている。企業の農業参入のお手本だ。農地を取得し自社農場で農業参入を果たすのではなく、企業が得意とする市場開発力で農産物市場を拡大し、農業の活性化に貢献している。北海道十勝の農業はカルビーが支えているという評価もある。

ジャガイモを成長産業にしたい、北海道産ジャガイモの質の高さを世界に発信したい、との夢を持って改革プログラムを策定、進行中である。

従来、ジャガイモの品種開発は国の試験場主導であり、病虫害や単収向上を目標とし、市場のニーズに応えてこなかった。そのため、加工用の需要が伸びているにもかかわらず、高品質の加工用ジャガイモを十分供給できないでいる。カルビーは消費者の情報を生産者にフィードバックする仕組みを作り、種イモの品種改良から、生産・収穫、貯蔵倉庫の管理、新製品開発、製品流通に至るまで、市場サイドからの農業インフラを整備し、国産ジャガイモを成長産業の軌道に乗せようとしている。 (以下つづく)
※記事全文は農業経営者02月号で
Posted by 編集部 | 12:28 | この記事のURL | コメント(12) | トラックバック(0)